それぞれの事情
八百屋さんの反対の隣はやっぱ果物屋さんがいいですよね!と言うことで庭師さんに相談して、新しくやって来た少年が早朝の作業後店舗の方をすることになりました。
愛想のいい子なので大丈夫でしょう。計算も得意だといいんですけど……まぁ八百屋さんかお肉屋さんがきっと親切に色々教えてくれると信じて……ふふふ
翌日は大型馬車がついて手紙を渡されました。読んでみると、サイラスおじ様が女性の保護施設の方々をこちらに送ってきたようです。
DV旦那から逃げ出したり、旦那さんと死別したりと色々な人が7人ほどいました。
子持ちの方は一軒家へ入ってもらい、単身の方はアパートへお願いしました。
小さい子供達を残して旦那さんが亡くなって、経営していた宿も旦那さんの兄夫婦に乗っ取られてしまったと言うノーラさんに女子アパートの寮母さんになって貰うことにしました。
お子さんも4歳と6歳なので、お昼は託児所の方でお友達と遊んだ方が楽しいでしょう。
クレアさんは可哀想に旦那さんのDVで足を折ってしまって、病院にも行かせて貰えなかったので変な風にくっついてしまったようで左足を引きずっています……
先生に聞いたら、もうくっついた骨は治せないので、お手上げだそうです……髪もこの世界では珍しいほど短いボブです。
ここでの生活で元気になってくれるといいのですが……
バリアフリーの家が必要なので、完成するまでの間はお屋敷の1階にある従業員の部屋を使って貰うことになりました。
ちょっと狭いけど、2歳のお子さんと2人なら大丈夫でしょう。
お子さんの事は身を呈して守っていたようで、傷ひとつなく元気な子です。夜泣きが酷くて旦那さんの暴力が始まったのだとか……実家の親も子供が小さいのに旦那さんと引き離すなんて可哀想とか、あなたがちょっと我慢すれば大丈夫とかでとても頼れる感じでは無かったようです……
自分の娘がこんな姿になっているのに、何も思わないんですかね?理解できません!
親に売られそうになってチェーチル王国から逃げてきた子もいました……皆さん色々な事情を抱えているようですが、新天地で自力で頑張って幸せになるぞとやる気に満ち溢れていてとても明るいです!女は強いですね!
何でも、こう言った女性は働き口が無いので国の施設に頼るしかなく、肩身の狭い思いをしていたのだとか。
でもこれからは働いて自分で稼いだお金で生活出来て子供にも好きな物を買ってあげれられるし、色々諦めさせずに良くなるので嬉しいそうです。
クレアさんは立ち仕事はキツいと思うので、縫製工場でミシン踏んでた方がましかな?と思ってそっちにしてもらいました。
あとの5人は、縫製工場が2人にチョコレート工場が3人になりました。
縫製工場の人には、とりあえずミシンの練習がてら皆がこの土地で着る服を作って貰っています。
作業着はたくさん用意してるので、普段着用のスカートやワンピース等です。子供服も生地と型紙を作ってあげたら喜ばれました。服屋さんもいりますね~。
一応最後に皆を教会に案内したんですが、ステンドグラスの美しさに?涙を流していました。
もしかしたら新天地に来るのはかなりの勇気がいったのかもしれませんね……何処かに売られるのかもしれないなんて不安もあったかもしれません……
サイラスおじ様……悪人顔ですしね~。ふふふ
皆がこの土地で幸せになりますように……




