妖精姫
「この子ってこの妖精ちゃんの事?レティシア姫は魔力が強いんですね!
ちょっと待っててね。キューピーいる?」
レティシア姫と同じように小声で答えます。
「呼んだ~?あれ?この子だぁれ?」
ふ、ふふふ、キューピーが照れてますね。こんな姿アマリリスに見られたら大変ですね。
「私はマリリンよ。あなたこそ誰?初めて私以外の妖精に会ったわ。よろしくね。ふふふ」
投げキッスされてキューピーがノックアウトしちゃいましたよ!すごい破壊力ですね!
「くすくすくすくす、イザベラお姉様は面白いんですね!」
あれ?私口に出してませんよね?
「もしかしてレティシア姫は心の声が聞こえるんですか?」
ビクッ!笑っていたレティシア姫が固まってしまいました。
「なるほど……それはまた……五月蝿そうですね」
しみじみ言うとレティシア姫がキョトンと首をかしげました。なななな、何て言う破壊力!鼻血が出そうです!くー、カメラ石!カメラ石誰か~!
「お父様!カメラ石!カメラ石です!早くしてください!」
かなり引き気味にカメラ石を渡してくれます。
「レティシア姫!さっきの表情をもう一度!キョトンとしてたやつです!さぁ、ほらもう一度お願いしま「イザベラー!お前と言うやつはー!」」
ぎゃー!ごめんなさーい!あぁ、レティシア姫が遠ざかって行く……しくしくしくしく
「ま、待ってください!お姉様を連れて行かないで!」
きゃー!レティシア姫が私に抱きついています!お父様!はい、カメラ石!ボーッとしてないで撮ってください!早くしてください!ふ~、何とか写真が撮れたようですね。
「くすくすくすくす、写真って何ですか?お姉様は私が怖くないんですか?」
「え?怖い?何処が?」
この愛らしい生き物の何処が怖いんでしょうか?はて……?
「だって私、心が読めるんですよ?みんな気味悪がって……それにみんなにはマリリンが見えてないから……」
「え?ルイには見えるよね?うちのお父様にも見えてますよ?魔力がある程度高い人には見えるはずですよ?
ちなみに従姉のハンナにもアマリリスと言う妖精がいますし、チェーチル国王のオズワルド様にも大地の妖精ちゃんがついてますよ?」
「そうなんですね……誰にも見えないから、みんな表面上は信じているふりをしてくれているんですけど、心の中では……ぅぅぅ」
心の声が聞こえるのもめんどくさそうですね。ふーむ……
「ねぇマリリン、聞きたい時以外は聞こえないように出来ないの?あと、動物の声なんかも聞こえるのかしら?」
「出来るわよ~。こんな感じかしら?」
レティシア姫に魔力の使い方のイメージを見せてくれているようですね。少し険しい顔をした後、ビックリしたように目を見開きました。
「凄い……凄い静か……ぅぅぅ、世界ってこんなに静かだったんだ?ぅわーん」
よしよし、よく頑張ったね。どの位の範囲が聞こえていたかわかりませんが、この部屋だけでもメイドさんを合わせて15人はいますもんね……それがそれぞれおしゃべりしている状態が普通だなんて、五月蝿くて気が狂いそうですね。
さっきの感じじゃ声に出しているのか心の声なのかの区別もついていないようでしたし、心の声に反応しているうちに自然とお友達も離れていって、マリリンしかお友達が居なかったんでしょうね……
しかもマリリンはみんなに見えないし……まだ6歳なのに……
きっとマリリンともお友達のように遊んでいただけで、魔力の使い方を教えて貰えるなんて知らなかったでしょうしね。
これからは上手く使いこなせるようになればいいんですが……




