デビュタント
シンシアさんから順番に名前を呼ばれ、次々と出ていきます。いよいよ次の組が私の出番です。
残り4人、結局2人ずつなのかどうなのかわかりません。あ、前の組の曲が終わったのでいよいよ私の出番です!
係りの人に合図されたら、正面から見て左の階段から降ります。T字型になっていて、左右の階段が交わる中央の踊り場の部分で止まります。
正面を向いて名前を呼ばれたらカーテシーをして、頭を上げるとエスコート役の王族の方が下から迎えに来てくれることになっているので、そのまま待機だそうです。
いよいよですね、合図と共に階段に出て下ります。会場がざわついているのは、きっとこのドレスのせいですね。
「イザベラ=フォーサイス伯爵令嬢!」
踊り場に着いて名前を呼ばれたので、王妃教育で培ったカーテシーをいつも以上に意識して綺麗にして見せます。
何でしょう?会場が静かになってしまいました……やっぱりドレスが不味かったでしょうか?
早くこの見世物の状態から助けて欲しくて、陛下を見るとルイが陛下に何か言って階段を上ってきます!
「え?ルイ?」
ビックリしすぎて思わず叫んでしまいました。何てはしたない……ってそうじゃなくて!
ルイは何事も無いように手を差し出して来ます。
どうしてルイが来るんでしょう?こんな事して大丈夫なんでしょうか?今は王族の方がエスコートする所ですよね?陛下もニヤニヤしながら見ています。
「エスコートはルイアード王子殿下!」
コールマンの声が響き渡ります。
「え……?王子?」
思わず呟いた声が静まり返った会場に響きます。
「言ってなかったっけ?一応この国の第3王子だよ?」
は?第3王子って女嫌いで有名じゃありませんでしたっけ?
何がどうなっているのかよく分かりませんが、とりあえず手を取って階段を下りましょう。
今日のルイはいつもと違って髪を綺麗にセットして、黒地に銀の刺繍のジュストコールを着ています。
いつもだったらクラバットも黒なんでしょうが、今日は私のドレスと同じ生地の白です。
はぅ……まさに王子様ですね。思わず見とれてしまいますね。
それにしても、上位貴族だとは思っていましたがまさか王子殿下だったとは……これから先も同じ様に接していいのか悩みます……
まぁ、本人はホールに到着するやいなや私の髪にキスの嵐ですけど……ってめちゃくちゃ注目されているから止めて下さい!
「ちょっと、恥ずかしいから止めて!」
「今日は一段と綺麗だ。早く2人っきりになりたい。
今日は絶対俺から離れるなよ」
「いや、お父様とも踊るから無理だって!」
小声でヒソヒソやりあっていると何やらざわめきが起きました。
「ハンナ=リベラ子爵令嬢!」
どうやらハンナの出番のようです。目新しいデザインのドレスに、見事に着こなすモデル体型の美人ですもんね!ふふふ
しかもティアラが豪華で、上位貴族に負けてません!エスコートは陛下のようですね。
緊張でぎこちない感じも初々しくて可愛いです。周りの男性陣がヒソヒソしていますが、ハンナはチャールズ様とラブラブなので残念でした~!ふふふ
ハンナのおかげで私1人が悪目立ちせずに済んでよかったです。
結局想定外のルイの登場で、最後の組は4人で踊ることになりました。男爵令嬢ちゃんもホッとしたようです。
ダンスが終わったので、お父様の所に向かおうとするもルイに離して貰えずに2曲目の始まりです。
ハンナもチャールズ様と踊っているようですね。
デビュタントも一般の参加者もみんな入り乱れて踊ります。さぁ2曲目も終わったし、今度こそお父様の所に……ちょっと、またですか!?
「ルイ……本気で怒るよ?4曲目は絶対お父様と踊るからね!」




