子爵
とりあえずお給料はあまり出せないし、あの人里離れたお屋敷で働くことになるけどいいのかの確認だけして、一旦王都へ戻ることにしました。
自分だけでは決められないので、ジニーとサイラスおじ様に相談ですね。
ジニーは意外な事に、ベンソン子爵に怒りは無いようです。執事とリリアさんの事は許せないし怖いけど、庭師も従者も顔を合わせたことが無いので特に何もだそうです。
ベンソン子爵とも、実際3回しか会っていないし、会えなかっただけで何かされたわけでも言われたわけでもないので大丈夫みたいです。
と言うか、おそらく会っても顔が分からないかもしれないと……ジニー、意外と強い子だったんですね。
ジニーがいいならこちらとしては異存は無いので、サイラスおじ様に相談しに行きましょう。
おじ様に相談したところ、侯爵様も勘当してしまったけれど行方知れずになっていた息子を心配していたそうです。
雇って貰えるなら有り難いと侯爵様がおっしゃったので、おじ様も好きにしていいと言うことでした。
さっそく3人とも雇うと手紙で知らせましょう。ふふふ、実は安くでいい人材が手に入って、かなりラッキーなんじゃないですか?
それと、オズワルド様が来週ハルマン王国に視察に来るので、ついでにお礼を兼ねてうちの領地にも来てくれるそうです!
お礼って何ですかね?凄く感謝されているみたいなんですけど……まぁいいか。川か湖が出来るといいな~。
領地へ持っていく為のシルクスクリーンに、チョコレート作りに必要な道具、彼等の布団に台所用品等生活必需品に、彼等の作業着(もちろん私とお揃いのTシャツにサロペットですよ)に靴下に何とか完成したスニーカーを準備しました。
食料なんかはこの前泊まった街でお願いして、定期的に届けて貰うようにします。
まぁ果物もあるし、何かあっても生きていけるでしょう。
それより誰か料理出来るのかが心配です。
オズワルド様も来られたので、さっそく出発です。あぁ、私達は先日の宿に泊まる予定です。
実は今回ジニーも一緒です。お屋敷にクリーンをかけて貰うためなんですが、保護者のダリウス様も絶対自分も着いて行くと聞かなくて……まぁ別にいいんですけど……ちょっとお店が心配です。
宿に着いたらすぐにベンソン子爵達がジニーに謝りたいと訪ねてきました。ジニーも謝罪を受け入れて、無事和解したようです。
思ったより全然普通で、逆にこっちがビックリです。
きっとダリウス様も心配して着いてくるんじゃなかったと思っていそうですね。
翌日さっそくお屋敷に向かいます。お屋敷に着くと庭にたくさんの果物が実っていて、ここだけ南国の楽園のようですね。
ジニーがあっさりお屋敷全体にクリーンをかけて、中に入るとどこもかしこもピカピカになっていました。
私とダリウス様以外はポカンとしています。ふふふ
使用人用の部屋が食堂も広間も近くて良さそうだったんで、3部屋使うことにします。さっそく木を生やしてベッドを作って布団を運び入れます。
それぞれの部屋に簡単な机と椅子も作ります。クローゼットは備え付けだったので、作業着や部屋着、下着に靴下に靴を渡して終了です。
その調子で食堂に中広間、大広間と必要な家具を作ってちょっと疲れましたね。
やり方まで教えたかったのですが、時間が無いので1人アトリエに習いに来て貰うことにしました。
ベンソン子爵は王都に来れないし、従者も料理や洗濯が出来るようなので置いておいて、庭師さんに来てもらうことにしました。
あぁそうそう、実はベンソン子爵は狭い範囲ですが雨を降らせることが出来るそうです!
凄く使えますよね!この土地にこそ必要な人だったんですね!
子爵様も、何だか自分の存在意義が出来て嬉しそうです。ふふふ




