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高所恐怖症

「……大丈夫か?」


「あ、あの……大丈夫ですので気にしないでください」


 お願いします、もう恥ずかしいので出来れば見えないところに行ってくださいー!さっき下見て『ひえ~』とか言っちゃったし、本当穴があったら入りたいです!


 え?ちょ、ちょっと何ですか!?まさかのお姫様抱っこ!ってうぎゃー!下が!怖い怖い怖い怖い!今ちょっと手すり側にバランス崩されたら私落ちるんじゃないですか!?

 本当無理です!思わず首にしがみついてしまいます。

 怖いのにどうして下を見ちゃうんでしょうね?そうですよ、見なきゃいいんです!

 目をつぶってしがみついとけば大丈夫ですよね……と言うかどこに行くんでしょうか?まさかこのまま階段降りたりしませんよね?


 どうやらサイドにある本棚の奥のソファに連れて行ってくれるようです……ソファに下ろされると、なんだかどっと疲れてぐったりなりました。

 ルイ様は私の落とした荷物とさっきの本を取りに行ってくれたようです。本当申し訳ないです。ちゃんとお礼を言わなきゃですね……

 本と荷物をテーブルに置いて隣に腰かけてきました。

 いえ、このソファ2人で腰かけるには少し小さくないですか?腰から足にかけてピッタリくっついてめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!


「……怪我は?」


「あの、いえ、ちょっと腰がぬけたくらいで問題ありません……色々ご迷惑をおかけしました」


「ぃゃ……」


 あぁ、何でしょう?沈黙が辛いです……くっついている足が熱いです。少しでも動いたら、腕も触れてしまいそうで、手の置き場に困ります……


「あ、そう言えば靴下の感想ありがとうございました……他にも新柄を色々作ったので、よかったら今度お店に見に来てください。

 あ、平民街に来月オープンするレディ・フローラと言うお店なんですけど……」


「……名前……名前教えて?」


 は!?何と言うことでしょう!名乗っていませんでしたね!


「あ、すみません。私イザベラと申します。ベラと呼んでください。えっと、ルイ様でいいですか?」


「ルイでいい。高い所が苦手なのか?」


「そうですね、今日まで気付きませんでしたが、手すりから下を見ると怖くて怖くて。

 高い所がこんなに怖いなんて、自分でもビックリしました」


「そうか……今度から無理に取ろうとせずに私を呼べばいい。ここにはよくいるから」


「ありがとうございます。これからちょこちょこ来る予定なので、助かります!」


 はぅ……それにしても透明感のあるグレーで綺麗な瞳ですね。髪も相変わらず無造作な感じですが、思ったより柔らかそうです。

 それになんだかいい香りが……んっ……え?


「……す、すまない!私はこれ失礼する!」


 はふぅ……今、キスされましたよね!?今生では初めてのキスです。しかも憧れのルイ様……いえ、ルイと!キャー!

 ちょっと日記!日記に書かなきゃって日記なんて書いてないし!今日から日記書かなきゃです!

 あぁ、暫くは動けそうにありませんね……

 どれくらいの時間ボーッとしていたのかわかりませんが、ルイが戻って来ました。


「そろそろ帰らなきゃじゃないのか?この本は片付けておく。馬車置き場まで送ろう」


 なんと!わざわざ心配して見に来てくれたんですね!ジェントルマンです!

 しかも馬車置き場までエスコートしてくれるとか……あ、ヤバい!サイラスおじ様です!


「ありがとうございます。保護者が迎えに来たようなので、ここで大丈夫です。

 今日は本当にありがとうございました」


 名残惜しいですが、おじ様に見つかる前にサヨナラです。

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