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執事の告白

「私は侯爵家の三男です。継ぐ爵位も無く、爵位が欲しければ頑張って国に認められて爵位を賜るか、どこか跡継ぎのいない家へ婿入りするかしかありませんでした。

 幼い頃より何度かお見合いをさせられましたが……結局自分の力で爵位を得ようと宰相様と王兄様の元で頑張っておりました。

 そうして今回の執事の話が来たのです。成功すれば爵位を返上してハルマン王国へ行くクラーク伯爵位を与えると言われ、慌てて執事の勉強をしました。


 見た目も髪を染めメガネを外せば案外いけるかとは思いましたが……まさか全く気付かれ無いとは……普段は鬱陶しいほど付きまとってくる令嬢方も全てです。

 結局誰も私の事など本当に見ていたわけでは無かったんだなと落ち込みましたよ。

 もし気付いてくれるご令嬢がいたら婚約を申し込もうとさえ思っていましたが、結局誰も気付きませんでした。

 そのうちやけになって、面白おかしく流れてきた噂通りに演じていたんです。


 ふふ、あの噂の出所は貴女でしょう?

 イザベラ様は本当不思議な方ですね……あんなに殿下を避けていたのに、突然靴下を渡したり。くっく

 人違いで別のご令嬢が怒鳴られているのを堂々と近くで見てふざけてみたり、マリー男爵令嬢から全力で逃げてみたり……いつしか貴女だけが私の楽しみになりました。

 そして貴女は私の正体にも気付いた……


 イザベラ様、私と一緒にチェーチル王国へ戻りませんか?

 もう一度クラークを名乗ってはいただけませんか?私が必ず守りますので、どうか私の手を取って頂きたい。お願いします」


 そう言って私の前で片膝をつき、私の手を取り口付けを!くくくく口付け!手の甲に口付けですよー!

 キャー!映画の世界みたいです!あぁ、でも眩しいほどの金髪ですね……黒髪のままだったら……


「アラン様……申し訳ありませんが、私はこの国で気ままに自分のお店を出して生きて行こうと思っております。

 そのための準備も着々と進み、一緒に働いてくれる人達もいます。残念ですが、もうこの国を離れる気はありません。

 どうか、オズワルド様を頑張って支えてあげてください。お元気で……あ、また時々靴下を買いに来てくださいね。ふふふ」


「そうですか……まぁ、断られると思っていました。今の貴女はチェーチル王国にいた頃と違い、とても楽しそうにしておられますもんね。まだ1週間だと言うのに……

 靴下はとても気に入りましたので、またブロウ商会で買わせていただきますね」


「あ、ブロウ商会じゃなくても、来春オープン予定の王都にある私のお店で買えますよ。レディ・フローラと言うお店です!

 それ、いいでしょう?私が作ったんですよ。製糸も染色も編むのも全て私の魔力でしたんです!凄いでしょう?ふふふ」


「え?緑の魔力でですか?こんなことも出来るとは知りませんでした!」


「隠していましたからね。ふふふ

 これからは自由に魔力を使えるので、楽しみです!」


「羨ましい魔力ですね。私なんて光を少しと霧を出せるくらいしか出来なくて……たいして役にも立たないんですよ。

 それにしても今のイザベラ様は光輝いていますね……また会いに来てもいいですか?」


「今光って言いました?後でちょっとお願いがあるんですけど、お時間ありますか?」


「え?ええ……明日まで休暇を頂いておりますが……」


「おい、イザベラ!陛下の御前だ、そろそろ慎め!」


 そうでした!と言うか私陛下やみんなの前でプロポーズされて断ってしまったんですね……アラン様ごめんなさい。

 と言うかこの状況でお願い事なんて図々しかったですかね……まぁ聞くだけ聞いてみましょう。

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