仮住まい
お店へ行くと、休憩室でジニーとダリウス様がお茶を飲みながら話をしていました。
朝食を差し出すと2人とも喜んでくれたので、3人で朝食を食べつつ今後の話し合いをしましょう。
無くなった子爵様からの唯一のプレゼントのレディ・フローラの髪飾りですが、リリアさんのクローゼットから出てきたそうです。
他にもジニーの私物で無くなったと思っていた物は全てそうだったとか……
さすがに部屋を物色して私物を盗んでいたので、リリアさんには窃盗の罪で何かしらの罰が与えられるみたいです。
その頃には誰もリリアさんを庇おうとする者は居なかったとか。
股が緩い上に手癖まで悪いとは……救いようが無いですね。リリアさんの実家の男爵家も、取り潰しになるかもしれません……
ジニーは荷物もほとんど無く、そのままお店に来たのはいいんですけど、空いている部屋がありませんね……早急に借りる必要がありそうです。
一応うちの新居にと誘ってはみたのですが、貴族のお屋敷が本当にトラウマのようでダメでした。
私の仮眠室でもいいけど、さすがに畳の部屋に布団はどうかな~?慣れてないとキツいですよね……
「私の部屋を使いなさい。寝室に鍵をつけて使って貰って、私はリビングにベッドを運んで使うから。
私の部屋、無駄にベッドが2つあってよかったわ~。
リビングに私がいるのが嫌なら、とりあえず家が決まるまでアトリエで寝泊まりしてもいいわよ。
ベラの部屋は畳とか言うのを敷いてあって落ち着かないしね。あぁ、私人間に興味ないから大丈夫よ。ふふふ」
「そうなんですか?ふふふ、別に心配なんてしてませんよ。
ご迷惑をお掛けしますが、有り難く寝室を使わさせて頂きますね。ダリウス様も気にせずリビングにいてください」
とりあえず暫くはそうして貰って、部屋はボチボチ探しますか。
それにしても、畳はちょっとって……ダリウス様酷いです。住んでみたら最高なのに!フンだ、使わせてって言っても絶対使わせてあげないんだから!
「あぁそうだジニー、ダリウス様は作業に没頭すると寝食を忘れてしまうから、しっかり見張っててね。ふふふ
キッチンは好きに使っていいから。あとこれは冷凍箱ね。公爵家にもあったから使い方はわかるかな?
うちで働いて貰えるのは有り難いんだけど、本当にいいの?お給料、そんなに出せないよ?」
「ふふふ、慰謝料も貰ったんで大丈夫です。まぁ弟達の為に送りたいので、細々と生活が出来る位頂ければ大丈夫ですよ?」
「そう……とりあえずはリハビリと思って働いて貰おうかな。って言っても、まだオープンまですること無いんだけどね。
レンタルが始まったら、ドレスにクリーンをかけてもらえると凄く助かるわ」
「お役に立てて嬉しいです。魔力が上がったので、お店やお部屋の掃除も任せてください!
ダリウス様やイザベラ様のお洋服も一気に出来ますよ!」
それは凄いです。そう言えば子爵家のお屋敷を一気にクリーンしちゃったって言ってましたね。ふふふ、ずっとクリーンが出来る人が欲しかったので嬉しいです!
ダリウス様との相性もいいようですし、ずっといてくれたらいいのになぁ~。とりあえず契約なんかはダニエルおじ様に教えて貰いましょう。
さてと、今後の方針なんかをサイラスおじ様に報告に戻りましょうか。また明日ゆっくり来ますね~っとその前に、護衛で付いてきてくれたマークさんとダリウス様とでベッドを動かさなきゃでしたね!
毎日の様にこき使ってしまって……マークさんごめんなさい。今度何かお礼をしなくては。
公爵家では皆が心配して待っていました。一応うちの新居にも誘ったけど貴族がもうダメみたいなので、家が見つかるまでの間はお店のダリウス様の部屋に間借りすることになったと伝えたら、皆安心したようです。
暫くは1人にさせるのが心配だった様です。皆も落ち着いたら差し入れて持って遊びに来るそうです。
子爵様達はその後どうなるんでしょうね~?




