#58日羅開戦
日本皇国からの要求から、ついに2週間が経過した。ローマ帝国は、要求を
無視したため、日本皇国は正式にローマ帝国へ宣戦布告。
両国は戦争状態へと突入した。日羅戦争の始まりである。
場所は変わり、ローマ帝国属州アフリカ(チュニジア)。ここの国境では、
何もない地平線を眺めるローマ帝国兵士たちがいた。
「本当に、何もないな・・・日本皇国と戦い始めたっていうのに。
まあ、俺たちには関係ないか」
「そうだな。所詮、俺たちはただの予備役に過ぎないのさ」
そんな会話をする兵士たち。彼らも日羅戦争が始まったことを知って
いるが、彼らも上層部と同様、戦争は沿岸部やアジア方面で起こると
思っているため、自分たちは関係ないと思っているのだ。
そのため、この砂漠地帯の警備が薄れ、元々は常備軍が警備していたが、
その常備軍は他所に回され、予備役である彼らが警備しているのだ。
しかし、最低7日間はこの基地に留まらなければならないので、
戦わずに待っているだけなのは、とても暇なのである。彼らがどう暇を
つぶそうか考えていた時、それは突然やってきた。
「ん?何だあれは?」
何もない砂漠の地平線に、突如無数の影が現れた。それが何なのかは
よく分からないが、こちらへ近づいているのは確かだ。
「まさか・・・敵襲か?」
一同がどよめき始める。普通に考えて、南側からあんなものが来るはず
ないし、つい先日日本皇国と開戦しているので、敵襲としか考えられ
なかった。一同は、剣や槍、弓矢などの武器を手に取り、立ち上がって
馬に乗る。その間にも、影は怒涛の勢いで近づいてきている。
少し経ち、ついに影の姿は明らかになった。相手は、およそ戦車75両、
自走砲40門、歩兵戦闘車150両。しかし、ローマ帝国からはどれも
未知の物体だった。兵士たちは驚きながらも、馬に乗って突撃したり、
弓で敵を射ってみるが、強力な火砲によって一撃で倒されたり、
矢を飛ばしても装甲に弾かれたりと、悲惨な状況と化した。
もう無理だと判断した兵士は撤退をしたが、戦車の速度に勝つことは
できず、一瞬にして屍となった。
結局、たった小一時間でローマ帝国軍は壊滅。日本皇国のチュニジア
方面遠征部隊は進軍を続け、ローマ帝国属州アフリカには
旭日旗がたなびくこととなった。




