#57要求
「皇帝陛下、日本皇国の大使から手紙を預かりました」
「手紙?まあいい。受け取ろう」
ハドリアヌスは、自国の危機を感じ、日本皇国を警戒していた時、それは突如
届いた。ハドリアヌス宛てに1通の手紙が届いたのだ。その内容は・・・
「ローマ帝国は、日本皇国に、同封の地図に描かれている赤色の地域を全て
割譲すること。
右条項の要求の全てを承諾しなければ、日本皇国はそれを宣戦布告と見なす。
期限は14日以内とする」
そんなことが書かれており、同封の地図を開くと、皇帝は眼を見開いた。
同封の地図には、ローマ帝国の領土は黒色で塗られており、その上に赤色が
重なっていた。赤色の地域とは、これのことだ。
しかし、その赤色の地域が問題だった。何と、赤色があるのは、ローマ周辺
以外の全地域であり、黒色のみなのはローマ周辺だけだった。
そのことに皇帝は・・・
「何だこれは!?あまりにもふざけている!こんな無理難題を誰が承諾
するのだ!?」
皇帝は、怒り心頭の様子でそう叫んだ。ローマ以外の全ての領土を日本皇国へ
割譲したら、今まで築き上げてきたものはほぼ無くなり、都市国家へと
戻ってしまう。そんな要求は簡単には受け入れられないのだ。
要求を呑まないと、宣戦布告、つまり戦争状態になるということだが、
ハドリアヌスには日本皇国に勝てる自信があった。
何故なら、ローマ帝国は世界最大の領土を誇り、世界一の軍事力を
持っていると思っているからだ。日本皇国の技術力がすごいことを
ハドリアヌスも知っているが、軍事力では勝っていると思い込んでいるのだ。
更に、14日もあれば、国境の守りを固められるし、戦争において防衛側の
方が有利である。
そんなことを考え巡らせていたハドリアヌスが下した決断は、
日本皇国からの要求は全て否決し、徹底抗戦するという決断だった。
しかし、その決断が、後に帝国中を戦火に巻き込むとはローマ帝国側は
思いもよらなかった・・・
その日からローマ帝国では戦闘準備が始まった。次の遠征用の部隊は
国内に留め、各地に留めている部隊は前線へと送った。
更に、武器の製造、徴兵などを行い、戦争の長期化にも備えた。
ハドリアヌスは、万全の態勢で挑もうとしている。




