#45神の能力
それからしばらく進み、テヘランの空港まで着いた。すると、キリストは、
「ここは・・・何の施設ですか?」
と聞いてきた。その様子から、目の前に建物に戸惑っているようだ。
「空港だ。ここで、飛行機に乗り換える」
「飛行機・・・とは、一体何のことでしょうか」
「空を飛べる乗り物だ。まあ、見ればわかる」
そう隊員が言うと、キリストはとても驚いた。まさか、この国には空を飛べる
乗り物があるとは。この時代、空を飛ぶことは人類の夢であり、何度も挑戦
してきた。
しかし、それは全て失敗し、空を飛ぶことは鳥にしか不可能と思われてきた。
そんなことを聞き、キリストは興奮しているようだ。
車を降り、空港内に入ってターミナルへと移動する。そして、外に出ると、
そこには飛行機があった。それを見てキリストは「これで空を飛べるのですか」
と感心の様子を示した。キリストが思っていた乗り物とは少し違ったようだ。
そして、隊員とキリストは飛行機に乗り込んだ。もちろん、他の乗客などはいない。
少し経ち、飛行機は無事に離陸した。キリストは、窓から下を見るばかりだ。
隊員は、全く動かずに座っている。
「このようなものがあったなんて、とても感激です。どうすれば、このような
技術を持てるのか、知りたいものですね」
キリストは、少し興奮するような様子で言ってきた。それを聞き、隊員たちは
微笑した。
少し間が空き、キリストは突然、隣の隊員の方を向き、こう言ってきた。
「あなたの左手、怪我がありますね」
そう言って指したのは、左手にある擦り傷。これは、隊員が訓練中に負った
傷である。
「ああ、これか。大したことはない。むしろ、訓練の賜物さ」
そんな風に言うと、キリストは負傷している左手に手をかざしてきた。
「な、何を・・・・・っ!?」
突然された隊員は、一度戸惑う様子を見せたが、キリストが手を離すと、それは
驚きに変わった。
何と、擦り傷は完全に癒えていたのだ。他の隊員もそれを見て、驚きを露わにする。
「い、今何をやったのだ?」
「言葉には表しにくいですが、私は生まれつきこのような能力を持っているのです。
きっと、神が私に授けてくれたのでしょう」
それを聞き、隊員たちは声も出なかった。まさか、天皇以外にも特殊能力を持った
人物がいたとは。隊員たちは驚くばかりだった。




