#36憶測と実行
今回は別視点です。
パルティアサイド
「西の国境に要塞線が築かれている・・・だと?」
「はい、その通りでございます」
家臣からの報告を聞いたパルティア国王、ミトラダテス2世は耳を疑った。
パルティアの西の国境である砂漠地帯に突如として要塞ができていたというのだ。
「その要塞はどこの誰が造ったんだ?」
「詳しくは分かりませんが、西にいるギリシア人が造ったのでしょう。
奴らはそういう工事が得意ですからね」
「分かった。それで、その要塞のどこが問題なんだ?」
「それが・・・その要塞の向こう側に次々と建物が造られています。その地の
王の話では、兵舎や兵站基地などの軍事基地のようです」
そう家臣が言った時、彼らの憶測が一致した。
「・・・ギリシア人が攻めてくるのか」
そう呟くと、家臣は静かに頷いた。
「では、有力貴族の重装騎兵を国境付近に配備し、軍の召集を
することを命じ、戦に備えるのだ。相手に少しでも動きがあれば、
すぐに奇襲をかけるのだ」
「はい、承知しました」
国王の命令から、3週間後。重装騎兵の配備を終え、軍の召集も粗方終わり、
簡易的な兵站基地も建設された。しかし、西方には何も動きはなかった。
そのため、兵士たちも気が抜けきっていた。
しかし、重装騎兵もどの兵士も何の意味を成さない。それは、相手が
日本皇国だったからだ・・・
「ん?何だあれは?」
上空から音がすることを不思議に思い、顔を上げた兵士はそう呟いた。
見上げた先にいたのは、無数の鳥のようなもの。その見た目は鳥に見えるが
鳥はあのような鳴き声をしない。兵士たちは不思議に思っていた。
その正体は日本皇国軍の九七式重爆撃機。その爆撃機はパルティアの首都
目指して飛行していた。
数時間後、首都地域の空は日本皇国の飛行機で覆いつくされた。
その光景を見て、国王や家臣らは唖然とした。相手が見えない恐怖、
何が起こるか分からない恐怖などが体を襲った。
結局、アルサケス朝は何も出来ないまま、爆撃機からの集中爆撃が開始され、
パルティアは滅びた。




