#12開戦承認
朝鮮総督府が宣戦布告し、戦争へ動き出そうとしているその頃、本国では・・・
「朝鮮が中国3国と戦争を開始した!?」
総理大臣のその報告に、驚くような声で天皇は聞き返した。
「はい、中国の侵攻に対し、朝鮮総督府は独断で行動を始めたようです」
(朝鮮総督府というと、あの大江総督か・・・キャリアは積んでいるとは言え、
年齢的に未熟だったか・・・・あれほど規律を守れと言ったのに)
そんな風に思っているのには訳がある。もし、中国に勝ってしまうと、
歴史が変わってしまう恐れがある。それも、世界的に。もしかしたら、
秦ではない別の国が中国を統一するかもしれないし、そうなれば、
後に出てくる漢が登場しなかったり・・・何かの因果でヨーロッパにも
影響するかもしれない。極端に言えば、世界の歴史そのものが
変わってしまう。しかし、この天皇のせいで既に歴史は変わっているが。
(歴史が変わるのは必然か・・・戦争はやむを得ないな)
「今すぐ、九州に常駐する自衛隊を派遣し、同時に、戦争に必要な物資も
戦地へと運べ。分かったか?」
「分かりました。至急、船を手配させておきます」
総理大臣は、そう言い残すと、慌てて連絡の方へ移った。
(しかし、中国は何故今頃、日本皇国と戦争なんて始めたんだ?
もしかしたら、最近中国船が度々出没しているのは俺への警告
だったのか?)
同時刻。朝鮮の総督である大江結衣は苛立ちを覚えている。
「占領地が拡大している?軍は何をやっているの!?」
「すいません。未だ拠点の確保が出来ず、占領地奪還の準備が出来ていない
ものでして・・・・」
そう言いながらペコペコと頭を下げているのは朝鮮自衛隊長官。
朝鮮の自衛隊を統率する長官である。身分的に、朝鮮の総督とはあまり
変わらないが、彼女を怒らせると大変なことになるので、ただひたすら
謝っている。それともう1つ・・・
「まあいいわ。拠点確保が出来次第、作戦を開始して。必ず占領地を取り戻すのよ」
「はい、承知いたしました」
基本的に、彼女は必死に謝れば大抵のことはすぐに許す。長官はそのことを
知っていて、先ほどの手段を使ったのだ。この方法が、1番穏便に済む。
「・・こんなのでいいのか?」
大江総督が天皇に未熟と言われた理由、その1つに、彼女の性格の欠点が
あったからだ・・・・