1-1 学園到着
ここは魔法使い見習いが将来へ向けた卓越した知識、技術を学ぶため、世界中のありとあらゆる場所から集まってくる学園。魔法使いを目指すものなら誰もが憧れるであろうその場所の入り口に、現在俺は立っていた。
「やっと着いたか……」
俺が十数年暮らした故郷を離れ移動すること約二週間、ついにここまで来ることが出来た。これからの学園生活への楽しみより、いまは疲れの方が勝っている感じだ。早く入学式を終えて部屋でゆっくり寝ていたい。
そんな俺の考えを吹き飛ばすような声が後ろから聞こえてきた。
「ちょっと、そこに突っ立っていられると邪魔なんだけど」
急にするどい口調で声を掛けられてびっくりした。
この感じから察するに俺の後ろで声を上げた人物は相当イライラしているようだ。
それより俺がここについてからの第一声がこれでは先が思いやられる。
しかし相手はどうやら女性のようだ。ここは落ち着いて、美しく丁寧に対応するとしよう。
「……申し訳ない、すぐに――――」
振り向いた俺は言葉を失った。
ただその女性が美しかったり、多少容姿がアレだったとしたならば、このような対応にはならなかったであろう。
世の中、わからないことがあれば誰だって疑問をもつだろう、そしてそれを誰かに投げかけるという行為は至極当たり前のことだ。俺はすぐに行動に移すことにした。
「なんで――」
「それ以上は聞きたくないわ」
一瞬で行動を阻害された。
そして続けざまに言葉を放ってくる。
「さっさとそこをどいてくれる?」
「……はい」
俺は黙って道を譲る。
そして彼女はこれ以上関わりたくないのか、速足で学園の敷地内へと入っていく。
俺は彼女去っていく姿を黙って見ていたが、どうやら見てるのは俺だけではないらしく、他の登校中の生徒からも視線を集めているようだった。
だってそうだろ?
「なんて量なんだよ……」
あれは俺と同じ新入生と思われる少女、しかもここの学園ということは魔法使い見習いなのであろう人物が持てていいような量の荷物の量ではない。熟練した商人であってもあの量はかなり厳しいだろう。
この学校は本当に大丈夫なんだろうか。至極当たり前の疑問を抱きながら俺はため息をついた。
初投稿となります!
慣れていない部分もあり、見づらい文章になることも多々あると思いますが、よろしくお願いいたします。
次回からは少し長めに書いていきたいと思います。