巫女vs巫女&魔法使い
「おいおい、あいつ無茶苦茶だぜ……」
私はどうにか空中で体勢を立て直し、箒に跨り宙に浮く。
「継続的に幻想郷全体を人間になる魔法をかけていて、まだこの魔力量か……相当厄介ね……」
隣で体勢を立て直した霊夢が呟いた。
今回の犯人はあの少女で間違いなさそうだ。だけど、巫女ってどういうことだ? 紫の親友っていうのも少し気になる。
「本当はこういうことは嫌いなのですが、そちらがその気なら本気でいかせてもらいます」
少女も私達に次いで空にやってくる。本気の本気の戦闘態勢。少女の目から放たれているのは狂気そのものだった。
「ちょっと待って。これを読みなさい」
霊夢は懐から本のようなものを取り出し、少女に向かって投げ飛ばした。
「……これは?」
「いいから読む。それが、今の幻想郷のルールよ」
霊夢が少女に渡したものは、弾幕ごっこのルールブックだった。
少女はパラパラとそれを読み進めていく。
「へえ、なかなか面白いのですね。これが今の幻想郷のルールなのならば、これに従いましょう」
少女の口元に笑みが浮かんだ気がしたのは、私の気のせいだろうか?
「随分と潔いのね。こんな異変を起こすくらいだから拒否される思ったわ」
霊夢は少女に訝しむような目線を送る。
「そうですか? このルールは人と妖怪が平等を目指した結果ではないのですか? そういうものを否定する理由はありません」
私と霊夢は唖然とした。
「……あんた、それがわかったなら——」
「いえ、このルールには賛成も反対も致しません。このルールでは『妖怪は人間を襲い、人間は妖怪に怯える』という根本的な解決にはなっていませんから。これは、白蓮さんにも言われたのではないですか?」
確かに言われていたな。少女はさらに続ける。
「結局、人間と妖怪の中で争いは起きるのです。だから、私は根本的にこの世界を変えたのです」
この少女はこの世界を本気で変えようとしている。なんて、覚悟なんだろう。
「お前、この異変は過去に起こしているんだろ? なら、その結果だって!」
「ええ、存じています。本当に酷いものでした」
少女の顔は一転、とても悲しそうな顔をする。
「それがわかっているならこの魔法、さっさとといてくれないかしら?」
「それはできない相談です。今回、私は白蓮さんに頼まれてこの異変を起こしました。異変を解決するためには……巫女ならおわかりですよね?」
少女は霊夢に大幣を向けた。
「結局はこうなるのね。やってやろうじゃない」
それに対抗すべく、霊夢は少女に大幣を向けた。これがラストバトルだ。
「いくわよ、魔理沙!」
「わかってるぜ!」
こっちも最初から本気の本気モードだぜ!