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東方永絆録  作者: Alice
一章:紅白少女
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封印されし巫女

「魔理沙、なんでこんなところにいるのよ?」


 霊夢は嫌味のように言う。


「遅いぞ、霊夢。こっちは最終局面だぜ。そっちは決着がついたのか?」


 仏殿の前で一休みしていると、霊夢がやってきた。白蓮とやりあっただけあって、無事だとは言えそうにないな。


「ええ。全部話してもらったわ。でも、珍しいじゃない。あんたがここを働かせるなんて」


 霊夢は自分の頭をツンツンと人差し指で指さす。


「ひっどい言い方だな」

「あら、そうかしら? じゃあ、なんで白蓮が犯人じゃないってわかったのよ?」


 皮肉っぽい言い方だな。


「まあ、いろいろと条件はあるだけどな。一番の疑問だったのは、紫のセリフだぜ。守矢とか白玉楼とか永遠亭が動いているのに、早苗とか妖夢とか鈴仙がここに来ていないだろ? 一度目の異変のことを知っていて、犯人が白蓮ならここで鉢合わせるはずだ。だけど、あいつらとは会わなかった。ということは真犯人が別にいるということだぜ」


「本当に頭を働かせてたんだ……」


 霊夢は意外そうな顔をする。


「悪かったな。で、今回の犯人は誰なんだよ? 白蓮から聞いたんだろ?」

「ここにいるっていうのは聞いたんだけどね。後は自分で確かめろ、としか言わないのよ」


 霊夢はため息をついた。


「なるほどな。まあ、こんな異変を起こせる犯人だ。相当やばいのは確実だな。でも、おかしくないか? 目星をつけておいてなんだけど、ここからは何にも感じないんだよな……」

「そりゃ、位置は探られないようにしているでしょ。膨大な魔力量があれば、建物内に魔力を閉じ込めておくことは簡単なことでしょうよ」


 よく考えてみりゃそれもそうか。


「ほら、さっさと異変を解決するわよ」

「あ、おい。なんにも対策しなくていいのかよ?」

「あんた、相手が誰かわからないのにどうやって対策するのよ」


 霊夢の冷たい視線が私に突き刺さる。


「い、言ってみただけだぜ。ほら、行こうぜ」


 仏殿の扉に手を掛ける。


 ——ゾクッ————


「っ!?」


 私は思わず手を離してしまった。触れた時に感じた魔力は凄まじいものだった。


 なんつー魔力量だよ……こんな化物は幻想郷にもそうはいないぜ……


「これは凄いわね……正直、私達だけでどうこうできる相手じゃないわね……」


 扉に触れた霊夢は冷や汗をかいている。


「まあ、やるしかないんだけどねっ!」


 霊夢は勢いよく扉をあけた。その瞬間、建物に立ち込めていた膨大な魔力が濁流のごとく外に流れ出す。


「あら、お客様?」


 仏殿の中で正座をしていたのは、私達くらいの歳の少女だった。


「……巫女?」


 霊夢はつぶやいた。

 その少女の服装は、外の神社でよく見かけるような紅白の巫女服。霊夢のとは違って正規のものだ。頭には白いリボンが巻かれている。


「へえ、そういうあなたも巫女なのですね。少し服装は特殊だけれど。それと、そっちの白黒の方は人間の魔法使いかしら?」


 少女の目線は私に向く。少女の目に敵意はない。話し合いの席についてくれるのか?


「ああ、私は普通の魔法使い。霧雨魔理沙だ!」

「それはご丁寧に。私は見ての通り普通の巫女です。で、そちらは?」


 今度は霊夢に目を向ける。


「私は博麗霊夢。察しの通り、巫女をやっているわ」

「博麗の……なるほど」


 少女は博麗という単語を聞くと、不思議な笑みを浮かべた。


「それで、その博麗の巫女が私に何か用でしょうか?」

「巫女なら巫女が何しにここに来たかわかるわよね、犯人さん。あんたのせいで私の神社が破綻しそうなのよ。あんたも妖怪退治を生業とする巫女ならわかるでしょ?」


 霊夢は少女に鋭い目を向ける。結局は八つ当たりなんですね。


「今の巫女は随分と気性が荒いのですね。まあいいでしょう、相手をしてあげます」


 その瞬間、爆風が起こった。おそらく魔力によるものだが、私達はその場に立っていることができず、仏殿の外に放り出された。

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