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東方永絆録  作者: Alice
一章:紅白少女
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二度目の異変

 私達は再び図書館の椅子に座り、談議を始める。


「で、紫。あんた、何を知っているの?」


 霊夢は鋭い目を紫に向ける。


「そうね。なにもかも、とでも言っておこうかしら」


 紫はお茶を飲みながらそう答えた。 


「なにもかも? それってお前が犯人ってことじゃないだろうな?」

「魔理沙……あなたがそこまで馬鹿だとは思わなかったわ……私が犯人ならこんなところに顔を出すわけないじゃない。こっちだって迷惑してるのよ。私だけじゃなくて、藍と橙も人間になっちゃうし、藍は藍で人間になった橙にベタぼれだし……」


 珍しく紫は大きなため息をついた。なんとなく想像がつくから怖い。


「魔理沙の馬鹿は今に始まったことじゃないわ。それで、私たちがが人間になってるっていう仮定はあってるの?」


 レミリアは横目に私を見る。私ってそこまで馬鹿か……? なんか心外だぜ。


「ええ。間違いないわ。厳密には健康な人間に、だけれど」


 紫はそう言い切った。


「なるほど。どおりで、今日は身体が軽いと思ったわ。それで、ほかに副作用とかは?」


 今度はパチュリーが紫に問う。


「そんなものはないわ。貴方達のいうようにただ単に人間になっただけよ」


 私はそれを聞いて少しだけ疑問に思ったことがある。


「それってほんとかよ? ここに来る前にチルノと弾幕ごっこをしたんだけど、あいついつもより頭が良くなってたぞ?」


 そう。チルノは目の前ががら空きになるアイシクルフォールを使わなかった。普段のチルノからしたらそれはありえないことだ。


「それ、あの氷の妖精が人間になったからよ。人の子のように考えるということをすることになった結果じゃないの?」


 紫の回答は的を射ている。


「そういうことか……それで、どうしてお前はこの異変にそれだけ詳しいんだよ?」

「その答えは簡単。この異変は過去に一度起きているから。たぶん、守矢、白玉楼、永遠亭は既に動いているわよ」


 紫の答えはあまりにも予想外過ぎた。


「過去に一度起きている……だって? それ、どういう意味だよ?」

「他意はないわ。そのままの意味よ」


 紫はあきれ顔で私を見る。


「で、今回の犯人は誰なのかしら?」


 レミリアは単刀直入に問う。


「あらあら、吸血鬼さん……今はただの人間さんだったわね。ちょっと早急ね。まあいいけど。今回の異変の犯人は私の親友だった人よ」

「紫の親友だった人? それって誰なんだよ?」

「さあ、それは秘密よ。全部教えたらつまらないじゃない」


 こいつ……やっぱり相当性格悪いな……


「それじゃあ、犯人はどうしてこの異変を起こしたの?」

「そうね。あなたはこの異変にどんなメリットがあると思う?」


 紫は霊夢に聞き返す。


「ううん……みんなが人間になった世界のメリット……? 妖怪たちが人間に……妖怪がいない世界……そういうことね……人間しかいなくなれば、人間と妖怪のあいだでの争いはなくなる」


「ご名答」


 紫は霊夢に向かって拍手をした。


「それじゃあ、少しだけ昔話をしましょうか。遥か昔、私の親友は人間と妖怪の隔たりをどうにかしたいと、争いが無くなればいいと口にしていたわ。私はそれを幾度となく聞いた。そしてある日、私の親友はついにことを起こしたの。今回と同じように」


 紫は昔を懐かしむように語り始めた。


「結果はそれなりだったわ。人間と元妖怪の間では争いがなくなり、元妖怪は人里に住むようになった。だけど、人間と人間の戦争が始まったわ。人間と元妖怪のね。元妖怪は能力を使える者が多かったから、元妖怪の方が圧倒的に優勢だった。私の親友は人間から恨みを買ったわ。結局、世界は変わらなかったのよ」


 紫はさらに続ける。


「あるとき、人間が集まって私の親友を封印すことになった。妖怪との共存を望み加担した、という名目でね。人間が里から元妖怪を追放するためには、元妖怪を妖怪に戻すしかなかったのよ」


 紫は悲しい表情をする。


「なるほどねぇ……魔理沙、行くわよ」


 霊夢は席を立つ。犯人が誰だかわかったということなのだろう?


「行くってどこにだよ?」


「決まっているじゃない。命蓮寺よ」


 そういって、霊夢は私が作った入口から飛びさっていった。


「命蓮寺……? なあ、紫……」


 振り返って、テーブルの方を見るが既に紫は消えてしまっていた。


「なんなんだよあいつは……仕方がない、私も命蓮寺に行ってみる」

「わかったわ。私達も準備が出来次第向かうわ」


 流石はレミリア。わかってくれて助かるぜ。正直この規模の異変を起こすような相手を私達だけで叩けるとは到底思えない。持つべきものは友だな。


「よろしく頼むぜ!」


 私は壁に立てかけてあった箒を手に取り、勢いよく飛び立った。

 チルノが⑨じゃなくて、ある程度考える脳みそを持っていたらどうなるのか少し気になるところです(笑)

 

 よく勘違いされるのは、チルノたち妖精はバカなのではなく、ただ単に考えすぎる傾向にあるだけなんですよね。まあ、結局回り回って⑨になるのですが……


 一話前の話では、チルノが人の子のように考えるようになった。という、すこし無理な設定を決め込みました。チルノの能力自体、どこかのちびっこ死神さんと同じ能力に近いので、普通に使えば相当なものなはずなのですけどね(笑)


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