【過去編】霧雨さんちの魔理沙ちゃん
「ただいまー!!」
その日、私は久しぶりに実家に帰った。最近は社会勉強ということで香霖堂のお手伝いをしているということになっている。
もちろん嘘なのだけれど。よく長い間騙し続けていると思う。正直、もうバレていてもおかしくはないだろう。
「おかえり、魔理沙。あら、可愛いお洋服ね。よく似合ってるわよ」
「えへへー。でしょ? 香霖に作ってもらったの!!」
くるりと回って、お母さんに洋服を見せびらかす。黒白のドレスを見せたのは今日が初めてだ。
今日は魅魔様が用事があると言って授業はお休み。霊夢のかーちゃん、もとい師匠にもお休みをもらった。
月に何度かこんな日がある。
「へえ、よかったわねぇ。お父さんはお店の方にいるわよ。挨拶してきなさい」
「はーい!」
私は飛ぶようにお店に向かった。もちろん比喩表現であって本当に飛んでいったわけではない。こんなところで飛んでしまったら大騒ぎになってしまう。
「お父さん! たっだいまー!」
「おかえり、魔理沙。見ないうちに逞しくなったんじゃないか?」
お父さんはそう言ってわしゃわしゃ、と私の頭を撫でてくれた。
「そういえば魔理沙、最近何してるんだ
?」
唐突にそんなことを聞いてくる。
「何って、香霖のお手伝いだよ?」
「まあ、そういう事にしておこう」
お父さんはガハハ、と笑った。何でだろう。絶対にバレている気がした。
「今、楽しいか? 魔理沙」
「うん!! とっても!!!」
魅魔様といる時間や、霊夢たちといる時間。今が楽しくて楽しくて仕方がない。
こんな時間が永遠に続く。そう思いたいほどに……
「それはなによりだ。父さんも母さんも魔理沙を応援してるから、やりたいことをやりたいようにやればいい。躓いたってへこたれるなよ? 何たってお前は霧雨魔理沙なんだからな」
「お父さんの言う通りよ。だけど、あんまり無茶しちゃダメよ? 魔理沙の体が一番大切なんだから」
気がつくと、お母さんもお店に入ってきていた。
「そうそう。霖之助にこのツケはでかいから覚えておけよって今度伝えといてくれ」
やっぱりバレているようだった。わざわざ隠す必要はなかったようだ。
「分かった!」
その日は、お父さんとお母さんと一日を過ごした。
次の日の朝、私は魅魔様のもとへ向かった。
「それじゃあ今日も始めるとしますか」
「ラジャーー!!」
ビシッ、と敬礼をする。
「あら、今日はやけにやる気ね」
「うん。だって、私は霧雨魔理沙だもん!」
魅魔様は一瞬ハテナマークを頭の上に浮かべるが、次の瞬間には笑っていた。
「何がおかしいの!?」
「ううん、別に。魔理沙の場合、全部それで片付いちゃいそうね」
そう言って、また笑う魅魔様だった。




