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東方永絆録  作者: Alice
一章:紅白少女
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何故かヤル気な巫女様

「レミリアたちが人間になった?」


 少し特殊な紅白の巫女服を着た、博麗の巫女である霊夢は完璧に疑っているようだ。まあ、普通は信じないわな。


 私と霊夢、レミリアとパチュリーは図書館の椅子に座って談議をしている。無邪気なフランがいると話が進まなくなるから、フランのことは別室で咲夜に頼んである。


「まあ、端的に言うとそうなるわね。ほら、羽がなくなっているでしょ?」


 レミリアは深いため息をつく。


「そういえばあったわね、そんなの。フランの方にもついてなかったし……でも、それだけじゃあ人間になったっていうのは早とちりすぎるんじゃないの? ただ単に羽がなくなったってだけかもしれないわよ」

「私もそう思ったんだけど、おかしいのはレミィだけじゃないのよ。現に私にも異変が起こってるし」


 次にパチュリーがため息をついた。


「それってどういうこと?」

「それがどうやら、捨虫の法が解けているようなのよ。それだけじゃなくて、捨食の法もね。それに、かけ直そうとしてもかからない」


 一度人間に戻ったところで捨虫の法をかけ直せば、その人は再び魔法使いになることができるだろう。が、それすらもできないのか? ということは、他の種族が人間になるというこの魔法のようなものは継続的なものとみてもいいだろう。


「なるほどねぇ……もしかしたら、この異変、紅魔館だけじゃなくて幻想郷全土で起きてるかもしれないわね。自分でいうのもなんだけど、それなら神社に人が集まるのも頷けるわ……で、程度の能力の方はどうなの?」

「それなら問題ないわ。空も飛べたし、グングニルも出せた。ただ単に人間になったってだけらしいのよ」


 それを聞いた霊夢は黙り込んでしまった。そういえば、チルノも能力を使えていたのを思い出す。


「へぇ、羽がなくても飛べるんだな、お前」

「もちろんよ。魔理沙だって箒がなくても空を飛べるでしょう? それと同じよ」


 レミリアはさも当たり前、というふうに答える。


「なるほどな……」


 あの羽は能力とは全く関係がないんだな。ということは、あの羽はただ、吸血鬼としての象徴というわけか。そういう意味では私の箒と全く変わらないのかもしれない。


「お前はどうしたんだよ、霊夢」


 私はさっきから唸っている霊夢のほうを見る。


「これ、相当なヤツが絡んでるわよ……種族だけを変えるなんてことできる筈がない。それも、継続的にね。もしいたとするならば、それは神……いえ、それ以上の存在ね……」


 霊夢は深刻な顔をして、静かに言った。


 この幻想郷には神様やら何様やらは結構いるが、霊夢が言っているのはそんな奴らとはまるで桁が違うようなヤツのことだろう。


 こりゃ、本格的にやばそうだ……


「で、霊夢。心当たりはあるのか?」

「あるわけないじゃない。まずは情報収集よ」


 霊夢はティーカップをソーサーの上において立ち上がる。


「どうしたの霊夢? やけにやる気じゃない」


 いつもなら、めんどくさいとかいって嫌々ながらやる霊夢なのに、今回はめずらしくノリノリだ。その疑問は私だけじゃなくて、レミリアにも浮かんだようだった。


「そりゃあね。今、この異変を解決したら報酬ががっぽりでしょ?」


 やっぱり、そういうことなんだな……こいつがただで働くわけないよな……


「ほんとお前って貧乏巫女だよな。そんなんだから普段参拝客が来ないんだよ」

「あんた、死にたいの?」


 霊夢の冷たい眼差しが私を貫く。


「ま、まだ生きていたいぜ……そんなことより情報収集だろ? 一応、神社に戻って一人ずつ事情を聞いたらどうだ?」


 本当に殺されそうな勢いだったから、慌てて話題をすり替える。


「そうね。とりあえず、神社に戻るわよ」

「了解だぜ。それじゃ、なんかわかったら報告するから二人はここにいてくれ――って、あれ……?」


 私は壁に立てかけてあった箒を手に掴む。が、箒は予想以上に重く、動かなかった。


「べつに神社に戻ることはないわよ」


 ん? なんか、どこかで聞いたことある声だな。

 私は振り返って箒を見ると、声の持ち主が私の箒を掴んでいた。


「なんで、お前がこんなところにいるんだよ……紫」

「あら、悪い? せっかく今回の異変のことを教えにきてあげたのに」


 相変わらずだな、こいつは……


 しかし、本当にどこにでも出てくるんだな、このスキマ妖怪は……


 八雲紫。この幻想郷においても重要な人物と言っても過言ではないのではあるが、どうもこいつは胡散臭く、こいつのいうことは素直に信用出来ない。


「へえ。ということは今回の異変のことをなにか知っているのね?」


 霊夢も紫に気付いたらしく、こちらに近づいてくる。


「ええ。立ち話もなんだし、座りましょうか。そこの二人も聞きたいでしょう?」


 紫がレミリアとパチュリーに目を向けると、二人は頷いた。

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