【過去編】授業はじまります
「体が……いたい……」
今日1日で分かったことが一つだけある。
「師匠ってえげつない……」
「そりゃそうだよ。あれでも博麗の巫女だからね」
霖之助はさも当たり前のように言う。
「でも、楽しそうにみえたよ?」
「うん。楽しかった」
私は魅魔様に貰った本を読みながら、返事をする。
書いてあることは、一つ一つが難しくて、何がなんだかさっぱりだ。
魅魔様は理解しなくていいと言っていたから、とりあえず読み流す。
「それにしても、なんで体術を習おうなんて思ったのかい?」
「式術だっけ? 霊夢はそれを習ってるのに体術も習ってるんでしょ? 負けたくないもん」
そう。理由はただ一つだった。唯一の親友に負けたくない。単純なものだったけど、それが私にとって大きかった。
「そうか。やっぱり魔理沙は負けず嫌いだね」
霖之助は笑う。
「なんで笑うのっ!?」
「ごめんごめん。でも、それが魔理沙のいいところだね」
まだ笑っている。
「むぅ……もう知らない!」
私は本に没頭する。
「魔理沙、もう寝る時間だよ」
気づくともうそんな時間だった。
今日から私は香霖堂に泊まることになった。というのも、これから朝は魅魔様の所に行くことになったからだ。
私が博麗神社に遊びに行くのは昼から。それなのに、朝から出ていくのはおかしい。そういうことで、私は香霖堂のお手伝いという名目で、香霖堂にお邪魔することになった。
もちろん、これは霖之助の案だ。
「分かった。お休み」
私は霖之助に割り当てられた部屋に行って、そのまま泥のように眠った。
次の日、私は日の上がる前に目を覚ました。
「ちょっと早すぎちゃった……」
私は洗面台で顔を洗い、外に出た。
ここは、魔法の森の入口。周りに民家はない。
「さぶっ……」
外の冷たい空気が体に染みた。暖かいのもいいけど、これもこれで気持ちがいい。
私は数回大きく深呼吸してから、香霖堂に戻った。
「おはよう。もう起きたのかい?」
店の方は、もう準備を始めていたようで、霖之助は売り物の状態を確かめていた。
「おはよう、香霖」
「それじゃ、ご飯にしようか」
それから朝食を食べ、私達は魅魔様の家に向かった。
「なに? やけに早いじゃない」
「この時間じゃないと君が寝込んでしまうだろ?」
「よくわかってるじゃない。それじゃあ、始めましょうか。魔理沙、上がりなさい。授業を始めるわよ」
こうして、私の初めての魔法の授業が始まった。




