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東方永絆録  作者: Alice
二章:黒白少女
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巫女の助言

 久しぶりに博麗神社に到着。外では、霊夢が箒を持って掃除をしていた。あの箒私のじゃないよな……?


「よう、霊夢! 元気だったか?」


 私はいつもどおりの私を演じる。箒を持っていないことは悟られないようにしないとな。


「魔理沙? 久しぶりね。最近どうしたのよ?」


 何日かぶりに霊夢と顔を合わせる。コイツが人の心配をするなんてな。ひょうでも降るんじゃないか?


「ほら、今お前んとこ小夜さんがいるだろ? 家族団欒を邪魔しちゃ悪いと思って」


 私は適当に理由を付ける。箒のことを話せば手伝ってくれるだろうが、それは私のプライドが許さない。いや、言ったところでこいつが手伝ってくれるかは定かではない。報酬を払えば確実に手伝ってくれるだろうけど……


「ふぅん。なんかあんたらしくないわね。誰がいようとずかずか入ってくるくせに」


 霊夢は私を訝しむような目で見てくる。


「気のせいだ。こう見えて私は良識的なんだぜ?」


 私は誤魔化し笑いをする。


「冗談。で、何しにきたのよ?」


 霊夢はそれを笑い飛ばす。


「ああ、朝食を食べにきた!」

「それ、良識的な人間が言うセリフじゃないわよ」


 霊夢はため息をつく。


「しょうがないわね。残りものでいいならあるわよ」

「いやぁ、悪いな」

「悪いと思っているならそういう顔をしなさいよね。ほら、上がんなさい。取ってくるから」


 私は社に上がる。


「あら、魔理沙さん。おはようございます」


 そこにはもちろん、小夜さんがいた。小夜さんは読書に勤しんでいたようだ。なにか分厚い本を読んでいる。


「おはようございます、小夜さん。何を読んでるんだ?」

「幻想郷の歴史書のようなものです。ここ数百年、私は封印されていたものですから」


 小夜さんは本の表紙を私に見せてくれる。題名は幻想郷の歴史。作者は八雲紫。絶対に信用したら駄目なヤツだよな……


「なるほどなぁ。小夜さんは勤勉なんだな。どっかの巫女にも見習って欲しいものだぜ」

「悪かったわね、勤勉じゃなくて」


 霊夢がお盆に朝食をのせて、部屋に入ってきた。


「誰もお前のこととはいってないぜ? いただきまーす」


 私は霊夢からお盆を半ば奪い取る。


「ほんとゲンキンなヤツね……」

「いやぁ、照れるぜ」

「褒めてないからね?」


 そんないつものやり取り。なんだか、暖かい感じがする。


「なあ、霊夢。魅魔っていう人物をしってるか」


 朝食を食べ終えて一休み、私は箒の手掛かりになりそうな人物のことを聞いてみる。


「魅魔……? 聞いたことないわ。それがどうしたのよ?」


 アリスや香霖と同じ回答が返ってくる。


「いや、この前勝手に口から出たんだけどさ、全く身に覚えがないんだよな……」


 魅魔という人物は私が空想上で作った人物なのだろうか……?


「そういうことですか……」


 小夜さんはぱたん、と分厚い本を閉じた。


「どうしたんですか、小夜様?」

「いえ、少し気になったことがあるので確認して来ます。少々歴史に綻びを見つけてしまったので」


 そういって、小夜さんは社から出ていった。歴史に綻びねぇ……


「そういや霊夢、私が魔法を使うようになったきっかけってなんだったっけ?」


 私は霖之助と話していて疑問に思ったことを霊夢にぶつけてみる。こいつなら何か知っているかもしれないしな。


「急に変なことを聞いてくるわね。あんたが魔法を使うようになったのは4、5年前に霖之助さんとあんたと私で流星祈願会をやったのがきっかけじゃないの?」


 流星祈願会とは流星雨の観望会のことだ。


「やっぱそうだよなぁ。でもほら、私が親父と喧嘩したのはもっと前の話だし、色々とつじつまが合わないんだよ」

「へえ、魔理沙が考え事ねぇ。雹でも降るんじゃないかしら?」


 霊夢は心配そうに外のほうを見る。


「失礼な。これでも困ってるんだぜ?」

「ま、思い出せないんなら仕方ないわよ。もしそれが、思い出せないように細工されているなら別だけど」


 霊夢は気になることを言った。


「細工……?」


「ええ。この幻想郷には幻想郷の歴史をいいように操れるような妖怪がわんさかいるわ。その中でも頂点にいるのは誰かしら?」


 霊夢は小夜さんがおいていった歴史書に目をやる。



「紫……か?」



「ご名答。とはいっても、あいつが記憶を操作できるかどうかは定かではないわ。それに、もしできたとして、何故私たちからその魅魔って人の記憶を奪ったのかしら?」

「さぁ。あいつの考えることはよくわからないからな。でも、私は真実を知りたいんだ」


 たとえ、その先にどんな結末が待っていようとも……

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