不屈の心
「まったく、脆弱ね。あなたってそんなだったかしら、魔理沙」
暗闇にふと、声が聞こえた。気付くと、落下も止まっている。
「レミ……リア……?」
目を開けると、レミリアの顔がすぐそばにあった。私はレミリアに受け止められていた。
「しかし、化物とんだ化物が出てきたわね。見たところ巫女のようだけど」
「ああ……」
私は力なく返事をした。あんな化物に勝てる術なんてあるわけが無い。もう、詰みだ。
「ほら、シャキッとしなさい。あんたがそんな調子でどうするの。いつもの威勢はどうしたの?」
圧倒的な力を見せつけられたら嫌でもこうなる。私は何も言い返せず、下を向いた。
「そう。魔理沙……失望したわ。いつも私達を振り回しているくせに、こういう時はすぐに諦めるのね。ひとこと言わせてもらうわよ——」
レミリアは大きく息を吸い込んだ。
「甘ったれるんじゃないわよ! 適わなければそれで終わりなのか!?」
耳が痛くなるほどの大きな声が空に響いた。
「違うでしょう? 霊夢ほどじゃないけど、私も魔理沙の努力を知っているわ。適わなくても何度も挑戦する。諦めないど根性を持っているのが霧雨魔理沙という人間じゃないの?」
そうだよな……こんなの私らしくないよな……なんだか、むずがゆい。
「悪かったよ……レミリア……」
私は呟くように言った。そうだ、私には仲間がいるじゃないか。まだ諦めるわけにはいかない。
「ほら、自分で飛びなさい。箒は咲夜に探してもらっているわ。飛べるでしょう?」
ぽそ、とレミリアが私の頭に帽子を被せる。
「もちろんだぜ」
私は帽子を深くかぶっりなおしてから、レミリアから離れる。
「げっ……」
私が体勢を立て直したのに気がついたのか、ただの流れ弾なのか知らないが、ひとつの光弾が私達めがけて飛んできた。
「心配は無用よ。ねえ、半人半霊さん?」
「もちろんだ。私に切れないものなどあんまりない!」
突然現れたそいつは、その光弾を一刀両断した。
「妖夢……」
紫は白玉楼、永遠亭、守矢は既に動いていると言っていた。さっき仏殿からあの少女の魔力が流れ出したときに察知したのだろう。
「珍しいな。お前がそんなにボロボロなんて。手を貸そうか?」
「ああ、頼む」
そう返事をすると、妖夢は意外そうな顔をした。
「今回ばかりは相当にやばいからな……こんなことより、霊夢は……?」
霊夢も私と同じようにどこかに飛ばされたはずだ。私だけ助けられたということは——
「霊夢のなら守矢の巫女と永遠亭の兎が助けに行ったわよ。それより、そろそろフランが危ないわ」
安堵も束の間、少女のほうを見ると、少女はフランの遊びに付き合っていた。が、どう考えても遊んでいるのは少女の方。フランは苦戦を強いられていた。
「そんじゃ、いっちょリベンジといきますかっ!」
私はボロボロになった右袖を引きちぎった。




