なくなっていたアレ
この小説を手に取っていただきありがとうございます。
ちょくちょくペンネームは変わるのですが、現在Aliceで書かせていただいています。
さて、今回は東方の二次創作をやらせていただく、❮勝手に東方二次小説化企画❯です!
作品紹介のところでも書いてあるとおり、なるべくキャラ崩壊はしないようにするつもりです。原作を知っている人はさらに楽しめたらなぁ……なんて思っています。
ちなみに、この【永絆】の読み方ですが❮とき❯と読みます。
話の内容は絆の物語です。
相変わらず、戦闘シーンはとっても苦手な私ですが、違うところで楽しんでいただけるとありがたいです!!
この話は主人公&視点が魔理沙となっています。別に魔理沙が好きいう訳では無いのですが、思考回路が簡単そうだから書きやすいかな……なんて(やばい、魔理沙ファンに殺される……)
と、とりあえず、ぜひ楽しんでください!!
「うーん。天気もいいし、することがない。紅魔館にでも行ってみるか」
箒に跨り、いつもどおりの空中散歩なのだけれど、お茶が飲みたくなるというのは散歩の性なのだろう。紅魔館なら紅茶にありつけるだろう。
霊夢の所に行ってお茶を飲むのも考えたけど、最近毎日行ってるからうるさいんだよな、あいつ。博麗の巫女なら巫女らしくしろってんだ。あんなだから、いつまで経っても賽銭が――
「あでっ!?」
ふと、頭を殴られた気がした。周りを見てみるが、誰もいない。
「気のせいか……もしかしたら、あいつの怨念だったりしてな」
誰もいない空中で一人笑い飛ばし、紅魔館に向かう。
「あ! 魔理沙!! 私と勝負しなさい!」
甲高い声が空に響いた。
「寒いと思ったらやっぱりいたのか、おまえ」
紅魔館前の大きな湖の上。ヒンヤリとした空気の中にそいつは現れた。そいつは青を貴重とした服を着て、頭にリボンをつけている氷の妖精、チルノだ。けれど、なんか違和感がある。しかしそれが何なのかというのはよくわからない。
「悪かったわね! いいから、私と勝負しなさいよ!」
こりゃ、勝負しないと開放してくれそうにないな……
ま、暇潰しにはもってこいだからいいんだけどな。
さて、この勝負というのは弾幕ごっこのことである。博麗神社の巫女である博麗霊夢が考案したスペルカードルールに則ったゲームのような、スポーツのようなものである。
少し詳しく話すと、弾幕ごっこは妖怪と人間の間で行われるが、相手を殺す為に行われている戦いではない。本来の命を掛けた妖怪退治を擬似的に再現した決闘である。まあ、死人が出ることもあるのだけれど……
「わかったわかった。ほら来いよ」
指先でクイクイと、チルノを挑発する。
「いっくぞー! アイシクルフォー……」
腕を振り上げたまま、チルノはぴたりと止まった。
「……? いつもの勢いはどうしたんだ?」
「いやだって、アイシクルフォールって目の前ががら空きになっちゃうじゃんって思ってさぁ……」
「っ!?」
あのチルノが頭を働かせててやがるぜ……一体何があったんだ?
「なによ、その素っ頓狂な顔は!?」
「いや、悪い。お前ほんとにチルノなのか?」
どっからどうみてもチルノなんだよなぁ……だけど、こいつがそういう考えを巡らせるわけあるまいし……
「あ、いた! チルノちゃん! 大変なんだよ! 早く来てっ!」
「え、大ちゃん!? どうしたの!?」
急に現れた緑色の妖精がチルノの手をつかんだ。えっと、あれは大妖精だったな。
「いいから早くっ!!」
「魔理沙! 覚えてろーー!!」
チルノは如何にも悪役のようなセリフを吐いて、大妖精に連れ去られた。
「なんだったんだ……? まあ、いいか。とりあえず、お茶だ」
さて、紅魔館の門の上を通過して。
「お邪魔しますよっと」
しかし、美鈴はほんとに仕事してないな。また、居眠りでもしてるのか? まったく、ダメな門番だ。こんなんじゃ、泥棒に入られてもしかないというもんだ。
「図書館はこのへんだったが? それじゃいっちょ、マスタースパーク!」
凄まじい爆発音とともに、城壁が崩れた。崩したと言った方が正解かもしれない。
「ちょと、魔理沙。あなたは入口というものを知らないの?」
屋敷の中から私を見上げながら溜息をついているのは、図書館の管理人のパチュリーだ。今日はいつもより体調が良さそうにみえる。
「入口から入ったら私が招待されたみたいじゃないか」
「あら、そう。客じゃないならお茶は出さなくていいわね。小悪魔、散らばった本を片付けてくれる?」
そういって、パチュリーは踵を返した。存外冷たいんだよな……
「ちょっ! 冗談だぜ!! 私が悪かったからさあっ!」
「なんだ、わかってるんじゃない。それで、今日はなんの用なの? 見た感じ、なんの用もなさそうだけど」
そういって、パチュリーは再びため息をついた。
「まあな。暇だから紅茶でも飲みに来たんだ」
「魔理沙……あなたも魔法使いならやることあるんじゃないの? 魔理沙は私達と違って人間のままだから、時間は有限でしょ? それとも、生粋の魔法使いになるの?」
生粋の魔法使いというのは、いわば種族だ。それは、捨虫の法によって、成長を止めてしまいさえすれば完遂するのだけど……
「うーん。魔法使いって便利そうだよな。まあ、私は魔法使いになるつもりはないよ。人間で十分だぜ」
「そう。ここで話すのもなんだし、座りましょうか」
私達は図書館の椅子に座った。
少ししてから、咲夜が紅茶を運んできてくれる。
「今日はやけに静かだな。フランはどうしたんだ?」
「フランお嬢様なら、まだ部屋でお休みになられてます。それにしてもいい加減、正面から入ったらどうですか?」
そういいながら、咲夜は私の前に紅茶を置く。
「あはは、今度からはそうさせてもらうぜ」
お茶が出ないのは勘弁だしな。
「ほんとに、美鈴は何してるのかしら……ちょっと見てくるわ」
咲夜は席を立ち、部屋を出た。数分後に美鈴の悲鳴が聞こえたということは言わないでもわかるだろう。
「さて、せっかく図書館に来たんだから本でも読むか」
私は席を立つ。
「盗まないでよ」
パチュリーはジト目で私を見る。
「なっ……盗んでなんてないぜ。ちょっと黙って借りていっているだけだぜ」
「それを、俗に盗んだっていうんですよ」
気がつくと、咲夜が戻ってきていた。
「お、咲夜。美鈴はどうだった?」
「相変わらず昼寝をしていたわ。二度としないようにきつく言い付けたから問題ないでしょう」
きつく言い付けた、ね……相変わらず怒らせると怖いな。
「ちょっと、咲夜!? ここにいるの!?」
勢いよく図書館の扉が空いた。
「お嬢様? いかがなされました?」
扉をあけたのは、この紅魔館の主のレミリアだった。口からは赤い液体が垂れている。
「あら、魔理沙。来ていたのね。って、それどころじゃないわ。咲夜、ブラッドスープに何を入れたの?」
なんか不味いものでも入っていたのか? 頭首様は相当ご立腹のようだが。
「いえ、いつもどおりのレシピの筈ですが」
咲夜は驚いた様子で対応する。
「そんなわけないわ。あのスープいつもよりドロドロだし、鉄臭いし……とにかく、いろいろとひどいのよっ!」
血のスープだからそりゃそうだろ……吸血鬼の考えてることはよくわからんな。
それにしても、さっきからなにか違和感が……なんか、チルノの時と似てるんだよな……
「あーーーーっ!!」
気づいてしまった。とても重要なことに……
「なによ、大きな声を出して」
レミリアは耳をふさいで、私に問う。
「なあ、レミリア……羽はどうしたんだ? まさか、取り外し可能だったなんてオチじゃないよな……?」
一瞬、紅魔館に静寂が訪れた。
「そんなことあるわけ無いでしょ? ほら……」
レミリアは自分の後ろに手を回すが、その手は空を切った。
「キャアアアアアアアッ!!!」
直後、さっきの私の何倍もの声が紅魔館に響いた。
この小説を手に取っていただきありがとうございます!
2016/8/28現在ですが、割と呼んでくださってる方がいるということに驚います。
ここ半年更新をサボってましたが、ちょっとずつでも書いていけたらなぁ……なんて……
小説の感想・意見はいつでも受け付けてますから感想の方によろしくお願いします!
ていうか、感想クレクレー(><)