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 あやふやな記憶によれば、私には、穏やかでとても優しいお父さまと病弱でめったに会えないけれどこれまた優しいお母さまと、元気な兄と弟がいます。女の子供が私以外いないからなのか、私を過保護に大事にしてくれているようです。

 

 

 あと、とてもとても不思議なことに、私以外の家族は、皆とても端麗な顔立ちです。

皆さん普通体型です。むしろ、きらきらと輝く海外のモデルさんみたいな人たちです。

あの、なぜ、エリザベスひとりだけ超肥満体型なんでしょうか……。

 

 

 ベッドで休んでいると、家族が心配して様子をみにきてくれます。お兄様と弟くんは、さっき庭でつんだというお花をもってきてくれました。天使のようでしたよ。ほっこり。

 

 お母様はご加減がすぐれないそうなのですが、お父様はそろそろお見舞いに来ていただけるようですよ。

 

 ……皆、エリサベスに優しいなぁ。

 こういうあまりにイージーモードな環境だから、ゲームの「高慢にお馬鹿でオデブなお嬢様」が育つのかなぁ……。

 怖いなー。

 私は、自分に厳しく行こう。

 ベッドで動かないまま思うことじゃないけど。(いや動けないんだけどね?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 結論。お父様は

 

 

 

 超かっこいい。

 

 

 

 

 

 

 

「エリザが怪我をしたって聞いて、飛んで帰ってきたよ!!」

 

 

 炎が燃えるような赤い髪。きりりとした切れ長の目。ピシリとした洋服の着こなし。

 すべてが素晴らしい。

 クールな感じの仕事のできそうな30代の素敵な男性がこちらに向かって蕩けるような甘い笑顔を振りまいています。

 

 

 ふぁー。眼福です。ときめいてしまいます。

 

 乙女ゲームの世界に来て、よかったぁぁぁとはじめて思いましたよっ。私はまんまる7歳児で、お相手は血の繋がったお父さまですけどねっ。

 

 しかし、お父様は距離が近いです。

 至近距離で覗き込まれると変にどきどきします。中身の精神年齢的に三十五歳なんです。純真な子供でなくてすみません。

 

「どうして、また怪我なんてしたんだい?僕の可愛いエリザ」

 

「えっと、その ダイエットをしようと、お庭を走ったんです。」

 

 そう私が言った瞬間、お父様の顔は、一瞬だけ刺された痛みをこらえるような苦い顔をされました。

 

 ぱちくりと瞬きして見つめなおすと、ちょっと困った笑顔に修正されてましたが。

 

 いやいやいや、お父様、今一瞬、ドシリアスな顔しましたよね。

 

 え。なにその反応。

 

 

 

 

 

 

 わ、私のダイエットってそんなに、ハードル高いんですか。

 

 

 

 あ。うん。知ってますけど。

 

 


 


 ――――――――――――――――――――――



 

 

 

 とりあえず激しい運動はできないことが分かったので

 

 食事制限DEダイエットです。

 

 

 

 夕食のお時間ですが、事前に

 いつもの7割くらいの量でおねがいします。と頼んでありますっ。

 

 なのに、

 

 目の前には、豪華で手のこんだお料理がずらりずらりと並んでいます。その種類と量は、まるでどこぞのパーティのようです。

 

 

 

 「……これで七割?」

 

 呆然と呟くと、給仕の少年が慌てて走っていきます。

 

 「あ、少ないですかっ そうですよね すみません 料理持ってきますっっっ」

 

 「違う違うっっ 多いの、多かったのよっ 」

 

 そう言いつつ慌てて引き止める羽目になりました。

 

 

 

 前菜からして、ポテトサラダもどき、大人量の二倍以上あるように見えるんですけど。この、サラダ…量多くないかしら?

 

 戸惑ってお父様やお兄様を見ても、ただただ笑顔を返されたので、ゆっくりとスプーンで口に運びます。

 

 

 

 そのとき、私に電流が走りました。

 

 

 

 

 なにこれ。

 

 

 

 

 

 

 この体のせいなのか。料理人の腕のおかげなのか。

 

 ポテトサラダが、ものっ凄くっっっおいしい。

 

 いっそ、異常なくらい。

 

 え。ポテトサラダだけこんなにおいしいの?と

 

 目に付いた 黄金色にてりっと仕上げられた鶏のソテーを口に入れた瞬間、

 

 脳が痺れるくらいの快楽が体を突き抜ける。

 

 

 

 

 し、幸せーーーっ。

 

 なんだこれ。

 

 

 

 うん。太った原因はわかった。

 

 

 

 エリザベス・・・食べるのが好きだったんだな。うん。単純にして明快だわぁー。

 

 

 

 

 

 できるだけ、野菜を取るように。噛む回数を増やして、ゆっくり食べました。

 

 前世のダイエット知識だよ。



 でも

 

 とても一回の食事量とは思えない大量の料理の8割くらいは食べきってしまった。


 ほら。急に減らしても、お腹減って寝られないかもしれないしねっ。

 

 

 

 

 えーと、7割の8割だから、昨日までのエリザベスが食べてた量の、5割6分だよっ。だいたい半分っ。

 

 

 前世の私からするとちょっと信じられないくらい食べました。ちょっと高級なホテルバイキングに行くために前日からお腹空かせて臨んだとき以上に食べた。

 

 それなのに、お腹の具合は信じられないことに、きゅるりきゅるりと「まだいけるっ、もっとこいよっ、俺の限界はこんなもんじゃねーぜっ」と熱血漫画風に叫んでいた。

 

 

 

 結果報告として。うん。もちろん、7歳児が食べる平均量は、かなり余裕でオーバーしていましたよ。

 

 

 ちょっと走って、足痛めて、ベッドで横になってたのに、食べるだけは大人以上に食べて…。

 

 あれ、これってダイエットはじめましたって言えるのかな?と正直ちょっと思う。

 

 

 

 あ、明日からっ

 

 

 明日からちゃんとダイエットがんばるものっ。

 

 

 

 

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