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 鏡を見て、深く深くため息をつく。

 胸に渦巻くのは、悲哀と絶望と諦念と混乱とすこし怒りと・・・・・・・・・・・・とにかくマイナスの感情エトセトラエトセトラ。

 

 神様は間違いなく、私のこと嫌いだ。


 (………これ。私の人生、詰んでるよなー)


 さきほど頭を打って、前世の記憶と、ここが乙女ゲーの世界だってことを思い出した。うん。テンプレだからここはさらりと流すよ。いやー、こんなこと本当にあるんだねぇ。

 いや、前世でも「乙女ゲー転生もの」はかなり好きで読み漁ってたから、そのことで混乱はしない。むしろ、二次元だった攻略対象をリアルで見れることは嬉しいなーとか思ってますよ。

 攻略キャラなんかどうでもいいとかいいつつ、なんだかんだゲーム情報チートで皆に好かれたり、とかさー。

 夢だったんだよねぇ。


 だがしかし、私の現実は甘くない。

 鏡を見ると、……………………その言葉に困るんですが、

 人間のような豚のような不思議な生き物がいらっしゃいます。(子豚ちゃんとでもお呼びしましょう)


 にこっと笑ってみると、子豚ちゃんも胸糞悪くなるような邪悪な笑顔で笑いかえしてくださいます。


 うふふふふふふ。

 あはははははは。


 うん。頑張った笑顔をありがとう子豚ちゃん…。

 そうだよ。どう考えても私だよ。どう考えても太りすぎだよ。体、ハムみたいだよ。お顔も肌荒れして、とても乙女ゲーの登場人物とは思えないよ…。


 …………あ、なるべく小粋に明るく独白してきたけど、マジで落ち込んできた。


 冷静になろう。


 この世界に類似してるゲームはタイトルあやふやだけど通称が『マジプリ』だから、マジックプリンセスだったかな、そんなタイトルの乙女ゲー。攻略対象がいる場所に行って、だんだん好感度あげていくタイプのやつね。


 私はそのゲームでの配役は『かませ役』だ。

 名前はエリザベス・ローザンヌ・ベルクリス。

 攻略対象の皇太子の婚約者。

 ちょろりと出てきて、皇太子が好きな彼女は嫉妬のあまり、主人公を誘拐して脅して別れさせようとする、みたいなテンプレ悪役であっさり撃退される。ちなみに立ち絵すらない。

 

 大臣の娘で権力バランス的に断れなかっただけとか、物凄く容姿が微妙だとか、皇太子には全然ふさわしくないとか、そんな程度の描写と、イベントスチルでコメディタッチで子豚に髪の毛はえたみたいなのがドレス着て描かれてたよ。そういや。


 王子様だから、婚約者の一人でもいないとおかしいけど、魅力的な婚約者にしちゃうとシナリオの都合上、ややこしいから、馬鹿でブスで雑魚な設定にされたかませ役。


 それが私。


 重いため息が止まらんですね・・・・・・。




 ま、


 とにかく。


 とりあえず、私がすることは決まっている。



 ダイエットだ!!


















「エリザ様っ?!どうなさいましたか?」


メイドのミリーが、駆け寄ってくる。


「……その、屈伸運動したら、なぜか体がころころって転がっちゃって…」





 うううう。


 この体、いやだぁぁぁぁ。




 


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