表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

epilogue

これで異世界(仮)への移動と初日が終了です。


次章からこの世界での生活が始まります。



epilogue start.



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


既に夕日が沈み始めていたが、なんとか城門が開いているうちに辿り着くことができた。

これも俺様の右手のおかげだな!ふたりとも感謝するがいい!

しかしちょっと疲れてきたし、早くふかふかのベッドで眠りたいものだ。

門番をしている衛兵がこちらに声をかけてきた。

身振り手振りからして、さっさと入れと言いたいらしい。


「やっほー!」


というものの、案の定衛兵の言葉が理解できない。異世界のテンプレだよなー。

確かに、あの轟音と揺れに巻き込まれた後気付くまでの間に

神様に会ってないから、召喚系の異世界トリップじゃないことはわかっていたけど。

ということは、万能言語スキルも持ってないわけで。

困ったなーと思ったら、同道してくれた熊がコミュニケーションを図っている!

・・・そういえばなんで熊とは日本語で会話できたんだろう?

ちなみに私は日本語しか分からん!選ばれし者はボディランゲージだけで十分なのだ!

おっと、どうやら中に入れてくれるようだ。


「あなたは少しここで待って、守備隊長に説明をお願いします。」


えっえっ、今、何語で喋ってたの?熊さん。



日本語しか分からないと伝えると、苦い顔をして衛兵と二言三言交わし、


「オレ、日本語も英語もデキる。オマエに付き合う、問題ナイ」


そう言われてしまっては仕方がない。

ワタシエイゴワッカリマッセーン!

道中の説明を請け負い、熊と並んで同僚と青年を見送った。

一足先に宿を取って療養に専念するそうだ。



・・・あれ、一日くらい前にトラックに撥ね飛ばされた人間だよな。

補助付きとはいえ、何で歩けるんっすか。そもそも骨折してない時点ですごいっす。

そもそもこの後どうやって落ち合うんだろうかと冷静に考えていると、背後に気配を感じるっす。

振り返ると、そこには丸太の二の腕を組んだ修羅がいたっす。

ちびるかと思ったっす。ち、ちびってねぇっすよ?ものの例えっすよ?



つい、思わず右手で殴りかかってしまい、おっさんが壁まで吹き飛ばされた。


「あ、あんたが悪いんだからな!俺様のこと睨むから!」


何を言っているんだと思うかもしれないが、俺様も何を言ってるんだと言いたい。

隣の熊も、右手で顔を覆い天を仰いでいる。

あれ、右手が光ってる間は一人称が俺様になるっすね。仕様っすかね。

仕様ならしょうがないよね、仕様だものね。



などとアホなことを考えていたセイントを衛兵たちが取り囲む。

親の敵でも見るかのような目でこちらを睨んできた。

ちびるかと思ったっす。

敢え無く取り押さえられ、留置所に入れられてしまった。

ええい、通訳はまだかっ!

ふかふかのベッドを所望するっ!

あと、水洗トイレください!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


門をくぐると、石畳の大通りとレンガ造りの家々が見える。

住居だけみると中世ですか?と言いたくなるけれど・・・・

夕闇を照らす街灯の存在と衛兵の装備を見るに、文明レベルは現代日本と大差なかった。

もっと細かいところまで見たかったが、店じまい中であったことと、交通事故の影響が想像以上に酷く、肩を貸してもらっていても動悸がするほど身体の状態が良くないため、それらは全て後回しにした。

こうして何か考えるのも億劫だ。早く寝たい。この痛みではなかなか眠れないだろうけれど。



ヒカルさんが居なかったら、とっくの昔に行き倒れていたことは想像に難くない。

感謝の念を込めて、ヒカルさんを見つめた。

ヒカルさんもこちらを見つめる。

一時足を止めてお互いに見つめ合い、ふと彼女の表情が優しく崩れた。

ちょっとドキッとした。




おかしいな、三次元とか興味ないんだけど・・・。




宿を探そうと再び歩を進めようとしたところ、どうも後方が騒がしい。

ヒカルさんが振り返ると、一瞬で苦虫を噛み潰したような顔になった。

ああ、もったいない・・・。

と、背後から衛兵が走り寄る音が聞こえる。

金属部品がガチャガチャとうるさい。


「セイントさんが騒ぎを起こしたんでしょうか・・・」

「そうですね・・・、衛兵が数名こちらに止まるように叫んでいます。

まったく、今日はとんだ厄日のようです・・・」


激しく同意です。



どうやらタイムスリップ改め異世界トリップの初めての夜は、牢屋で過ごすことになりそうだ。


epilogue end.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ