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安息の破壊者

 誠がたどり着いた先は先程のパソコン部の部室であった。

 先ほどまで誠が使っていたパソコンはエナの攻撃のよって無惨に破壊されていた。

「やっぱり、壊れているか」

 ディスプレイは砕け、本体も壁まで吹き飛ばされていた。

 回りを見渡す誠。無事なロッカーを見つけると、ロッカーの中身を探る。

「あった、あった。片落ちだけど使えるだろう」

 古くなったので最近使われていなかったノートパソコンをロッカーから取り出し、電源をいれる。

 起動後、ユナに渡されたUSBメモリーをパソコンに差し込み、アク=マを起動させる。

「上手くいくかな?」

 そんな誠の心配も起動してすぐに吹き飛ぶ。

「すげえ、アク=マがOSに干渉しているのか?」

 パソコンにインストールされていたOSはみるみるうちにアク=マに侵食されパソコン自体があっという間にアク=マに乗っ取られてしまう。

「すごいな、OSごと書き換えてしまったのか?」



阿久津誠……….? yes/no


>


 画面に問いが表示される。

「アク=マが俺に問いかけているのか?」


>yes


世界を救いたいか……….? yes/no

>


>yes


「しかし、世界が危ないのか?」


>ミライヲカエヨウトシテイルモノニヨリジクウノバランスガクズレヨウトシテイル


「そうなのか?」


>ミライハカエラレル。ダイショウハオオキイ


>ena=angelキケン


「歴史を変えることは危険ってことなのかな。正しい歴史では、ここで俺はエナを倒す。ってことでいいんだな」


>構わない


「わかった。やろう」


>力を貸す


 突然どこでも行けるドアが現れドアが開く。ドアから肩当てのついたマントと角のついたヘルメットが飛び出てくる。


「なんだこれ?」


>アク=ママントにアク=マヘルメットだ。これを使えばエナ=エンジェルと対等に戦える


「わかった。しかし、もうアク=マは日本語マスターしたのか?」


 マントを羽織り、ヘルメットを被る誠。

「なんか、悪魔のコスプレっぽいな。ってか誰かにみられたら中二だと思われかねないな」


「大丈夫、人に見られる前に存在を消してあげる」

 誠の後ろから、冷たい声がかけられる。

「エナか……」

 振り替えるとそこには紅いに目に白髪の美少女がたっていた。

「まだわからないことだらけだが、ひとつだけ理解した。歴史は変えちゃいけない。そうだろう?」

「そうかしら、せっかくタイムマシンがあるのに自由に世界を変えられないなんておかしいと思わない?」

「エナ?アク=マを封じるのがお前の役目じゃないのか?」

「悪魔を封じる?もうどうでもいいわ。これからは私がこの世界の支配者になるの」

「どうしたんだエナ。何を言っている?」

「あなたの持っているパソコンにアク=マが入っているわね。それをもらい受けるわ。そしてこの時代で私は支配者になるの。楽しいでしょう?」

「意味がわからないな。悪魔を調べにこの時代に来たんじゃないのか?」

「そうよ。でも、もうそれはどうでもいいの。知ってしまったから」

「知ってしまった?」

「そう、世界の醜さを知ってしまったから。お話はここまで、死になさい」

 エナは翼を広げ、光の玉を作り出す。そして、翼と髪の毛はみるみるうちに黒く染まっていく。

 作り出された光の玉が一斉に誠を襲う。

 爆風と共に部室の備品が吹き飛ぶ。

「無茶しすぎだろ」

 誠はアク=マのインストールされているパソコン抱えマントの中に身を隠す。

 マントは光の玉の衝撃と爆風を完全に防いでくれる。

「たいしたもんだ」

 メチャクチャになった部室と無傷の自分を見比べて感心する誠。

「とはいえ、耐えているだけじゃ埒があかないな。なにか攻撃するすべはないのか」

「パソコンを除き込む」

「アク=マヘルメットにある角から、エナの作り出す光の玉と同じものを作り出すことができるのか。精神を集中する? まあいいや、ためしてみるか」

 精神を集中する誠。

 誠の目の前に光の玉が浮き上がる。

「でた!」

 光の玉はみるみる大きくなり直径が誠ほどの大きさになる。

「でかすぎないか?」

「ちょっと、誠君?」

 あきらかにうろたえ声をあげるエナ。


「やっちまえ!」


 光の玉はエナに直撃する。

 大爆発とともにエナも吹き飛ぶ。

 誠もマントの中に隠れるがマントごと吹き飛ばされ、壁に激突する。

「いって!」


 ・・・


 見下ろす誠の視線の先にはアク=マがインストールされていたパソコンが無惨に転がっていた。

「これでいいのかもな。自分の手で開発してやるさ」

 その先には翼をもがれたエナが倒れていた。エナも翼で衝撃に耐えたようであったが、翼は無惨にもげおち、エナ自信も傷だらけで意識を失っていた。

 どこでも行けるドアが現れ、中からユナが現れる。

「これでいいのか?」

「大丈夫よ。このあと、もう少し君の家にお世話になるけどね」

「すぐ帰らないのかよ」

「帰れないって。政府に喧嘩売ったあげく、アク=マを手に入れて世界征服なんて本気で考えたのだから」

「若気のいたりか?」

「そうしておいて恥ずかしいから」


「ユナ」

「なにかしら?」

「いや、もういいか。エナ、未来は変えていけないのものなのか?」

「ええ、それが私が出した結論。未来の君もアク=マも同じ結論に達するわ」

「わかった」

「また君には迷惑かけちゃうんだけどよろしくね。未熟な頃の私をね」

「ああ……」

 そのままユナはどこでも行けるドアで何処かへいなくなった。

 騒ぎが大きくなる前に誠はエナを抱えて部室を後にする。


 ・・・



 阿久津誠の殺害を企てたものの取り逃がした。エナは一度未来に帰還することになる。そこで彼女は醜い現実を知ることになる。

 権力者争い。対処できない地球焦土化に自暴自棄なる人々。政府の用心は保身のためにアク=マの人類のデータ化を承認する事になる。

 極秘行われてたエナの任務は凍結され、エナは拘束される。エナを作り出した研究員達も拘束され、秘密利に処分されていった。

 エナは人類に絶望する。この世界に人類に。ならば自分の手でこの世界を終わらせてやる。

 阿久津誠を殺し、アク=マを誕生させいない。それによって人類は静かに衰退し消えていく。

 太陽の異常活動により人類は全滅する。エナはそのシナリオを実行しようとした。


 しかし、エナの暴走は誠の手によって止められた。


 ・・・


「ここは?」

「気がついたか?俺達の家だよ」

「阿久津誠!」

「もうよせ。翼のもげたお前に何ができるんだ?」

「うっ」


「私はいったい何のために……」

「世界を救うためだろ」

「私は世界に絶望した。人類を消したいと思った」

「今は?」

「わからない」

「誰だって熱くなって周りが見えなくなることもあるさ」

「私は人間ではない」

 間違えないAIは発展性がない。間違えない人は成長しない。AIも人も一緒さ、間違えて試行錯誤して成長する。間違えたなら、正しい答えを探せばアク=マそうやって作られる。はずなんだろ」

「誠君……」

「落ち着くまでここにいればいい。未来のエナからもお願いされているしな」

「私は世界に迷惑をかけた。誠君を殺そうとした」

「知っているよ」

「それでも、許してくれるの……」

「別に許すわけでも無いんだけどな。エナにはエナの役割がある。だから、生きろってことさ。

 まあ、判断は任せるよ。自分で結論出せば。ちなみに俺はヘルメットとマントがあるから無敵だぜ」

「そんなもの……。いいわ。あなたに従う。それもありなのかも……」

「ありかもかもって……。まあ、いいか」

「なに、文句あるの?」

「別に……」

(ユナ。これでいいのかな?俺には答えはわからないけど)


 結局、正しい未来なんてわからない。俺にできるのは今を生きることだけだ。


 ・・・


 翌日の朝、平穏を取り戻した阿久津家。誠の母親が誠に話しかける。

「誠、今日からエナちゃんと登校してね」

「なんで?」

「誠と同じ高校に編入が決まったの」

「なに?聞いていないぞ」

「言ってないわよ」

「言ってくれよ」

「いいじゃない。エナちゃんと同じ高校に通えるなんで楽しいでしょ」

「楽しいのか?身の危険を感じるが」

「おっはよー。誠君」

 エナが二階から降りてくる。

「なんか、ヤル気満々だな。おい。なんで高校なんて通うんだ?」

「当分ここにお世話になるのです。この時代のことも知っておきたいですからね」

「ああ、そう~ですか」

「いやーしかし、意外でしたね。誠君が私のこと好きだったとは」

「ちょっと待て。俺も意外だ。ってか、そんな話はきいていないぞ。いつからそうなった」

「さー」


 未来は絶対じゃない。変えることはいくらでもできる。それも今の未来が最善と考え行動する者達がいる。


 未来がどうであれ、アク=マは最後まで人類のために活動していた。衝突もあったのかもしれない。それでも、人類の為であったのだ。だったら、それを作り上げるのが自分の一生をかけてもいい目的なのかもしれない。


 そう感じる誠であった。

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