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未来の来訪者 No.1

 エナ=エンジェルは夜の街を見下ろしていた。

「ここがあの悪魔を産み出した時代……」

 真っ白なライダースーツのような物を身を包んでいる。エナ=エンジェルが立つ高層ビルの屋上にも都会の喧騒が聞こえて来る。

「夜なのにうるさい街ね」

 闇夜に不自然に白く浮きだっていた。

 腰まで垂れ下がった髪の毛は絹のように白く、肌もまた透き通るように白かった。しかし、街を見下ろすその瞳だけは炎のように紅く輝いていた。

 整った容貌も相まって、この世に降臨した天使を思わせたが、炎のような瞳と怒りに歪んだ顔のため、堕天使と言ったほうがしっくりくる思われた。

「待っていなさい、悪魔め」

 白髪が風に靡いていた。

「私は必ず世界を救ってみせる」

呟くとエナは闇夜に溶け込んでいった。


 ・・・


 阿久津あくつ まことは考えていた。

 来週から始まる期末テストの対策全然進んでいなかった。高2最初の中間テストで散々な結果だった誠は期末テストでの巻き返しを狙っていた。赤点がなかったが、大学受験を考えると平均点以上は点数をとっておきたかった。推薦入試を狙っている誠にとって内申書は重要事項であった。

「ヤバイぞ。これじゃ推薦合格どころか推薦枠から漏れてしまう」

 しかし、結局は期末テスト直前までなにか対策を立てるわけでもなく、今にいたるのである。

 閑静な住宅街に阿久津家はあった。二階建ての一軒家、二階の自室の机に向かって頬杖をつきながら誠は考えていた。

「はあ、めんどくせえ……」

 窓から遠くをながめていると、机がカタカタと揺れていることに気がつく。

「地震?」

 次の瞬間、机の引き出しが開き人の頭が出てくる。

 勢いよく出てきた頭は誠の顎に直撃する。顎に頭突きを食らった誠はそのまま椅子ごと後ろに倒れこむ。

 後頭部から倒れこんだ誠は呻き声をあげる。

「いったい何が起きた?」

 頭と顎を押さえながら見上げた誠は信じられない光景を目にする。

 机の引き出しから人間が出てこようとしていた。

 炎のように紅い瞳、絹のように白い髪、白のボディースーツ、整った顔つき、そして肌も透き通るように白い少女。

「いったい……」

「三十分後に首をつる。四十分後に……めんどくさいからいいや」

「お前は誰だ?」

「ぼくド○えもん」

「アウトだ!」

「あれ?私、はずしちゃった?ははっ……」

「今さら、どうして机の中から?とか聞かないが。この状況でそのギャグは笑えないぞ」

「あれー?ちゃんと過去の文献でこの時代のこと学んで来たのに」

「あーあれですか。青い猫と眼鏡の小学生の話ね」

「あ、それそれ」

「いろいろ間違っているし、微妙に古いぞ」

「しかし、私を見ても狼狽えないなんてさすがね。阿久津誠君」

「なんで俺の名前を?」

「はじめまして、私はエナ=エンジェル」


「未来から来た、タイムパトロールよ」

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