彼女の事情
久々~投稿です。
忘れてたわけじゃありませんよ?
悔しいことではあったが、メイリーは最終的にはセルディの同行を認めざるを得なかった。
彼女の負った傷は軽くはなく、歌では怪我は治らない。
一日でも早く一行の後を追いたいメイリーとしては、治癒魔法の使える魔術師の存在は貴重だ。しかも自ら同行を申し出ているのだ。
セルディに対する不信感は拭えないが、この際目をつぶる。
わからないことはこれから探っていくしかない。
渋々とではあるが「好きにすれば」と答えたメイリーに、セルディは底の見えない笑みを深める。
そして彼は火にかけていた鍋からよそった何かをメイリーに差し出した。
先程からの美味しそうな匂いの発信源だ。
慎重に匂いを嗅いだメイリーの前で、セルディは自分用に盛ったそれをペロリと平らげた。
野菜の入ったそれはスープのようだった。
恐る恐る口をつけるとそのスープは大変美味しかった。
しかしメイリーの中には妙に悔しさが募った。
その日はもちろん動き出すことがで きなかった。
動くと走る激痛のために、上半身を起こすのが精一杯だ。
それだって涙目になりながらようやく達成したのだ。
「痛みをなくすこともできるよ」
そんなふうにセルディは言はった。
「でもそれって痛覚を麻痺させるってことだからさぁ、あんまりおすすめじゃないかなぁ」
……そんなふうに言われてまで、試すことができるだろうか。
結局メイリーは根性と痩せ我慢で痛みを克服した。
次の日にはなんとか歩けるようになった。
ようやく旅に出られるようになってほっとする。
彼女の王たちが無事でいてくれればいいが。
短めでした。
次はもうちょっと話を進めたいです。