表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

目覚め

久々~の更新です。

鼻腔をくすぐる美味しそうな匂い。

野菜がとろけそうになるまで煮込んだスープの温かい匂いだ。

昔、母が作ってくれたスープの匂いに似ている。

誘われるようにメイリー瞼を押し開いた。

視界いっぱいに広がる夜空に、一瞬混乱する。

ここはいったいどこだ?

思いむだそうとしたら頭がずきりと痛んだ。

「気がついたか」

不意に人声がしてメイリーはびくっと竦んだ。

慌てて身を起こす。

動いた瞬間、脇腹を激痛が走り抜ける。

「……っ、痛ぅ」

「動かない方がいいと思うよ。せっかくくっつけた傷が開くし」

声の主が近づいてくる気配がした。

ひょいと覗きこまれる。

まず目に入ったのは黒色のローブだった。深く下ろしたフードの下から、紅茶色の瞳が覗いている。

「……あなたは」

掠れた声で問えば、ぐいっと目の前に椀を差し出され

た。

思わず見つめた椀には透明な液体が揺れている。

仄かに湯気がたちのぼるそれは、メイリーを戸惑わせた。

「白湯。飲んだ方がいいよ。……なにも変なもの入ってないから」

迷い椀を受けとる、

慎重に口をつけるが妙な味などはしなかった。

ごくごくと飲み下す。

仄かなあたたかみが渇いたのどに染みた。


「助かった。ありがとう。あなたはどなたですか」

問えばローブの人物は肩をすくめた。

「しがない旅のものです。君は行きだおれてるのをおれが拾った。……訳ありの歌士さん」

……気づかれていたか。

メイリーは警戒心を強めた。

飄々としているが、この人物はよく見ているし食えない。

「別に警戒しなくていいよー。それをねたに理不尽を迫るような趣味はないからね」

顔が見えないから信用できない?とフードを払いのけた彼を、メイリーは驚きと共に眺めた。

恐らくはメイリーよりいくつか年上。

なにより目を引くのはその髪の色だ。すきとおるような純白。光の加減では銀にもみえる。

白い髪と赤みの瞳が、見るものに作り物のような印象を与える。

「珍しい? この辺りではね」

ニヤリと笑ったその顔は、少年と呼んでもいいほどに若かった。


まだまだ続きます。

気長にお付き合いくださるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ