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追われる
「ハァハァ。」
あの女どこまでついてくるつもりだ。
タッタッタ。足音が近づいてくる。
とっさに公園の草むらに身を隠す。
タッタッタ。足音が大きくなっていく。
汗がほほをつたう。
タッタッタ。足音が闇の中に消えていった。
「行ったか…。あの女すきをついてきやがって。」
「見ーつけた。」
後ろを見なくても分かった。あの女だ。
「別に逃げなくてもよっかたのに。少し痛めつけるだけなのに。どうしてこんなに手間をかけさせる の?」
どうするか。答えは一つ。一か八かかけるしかない。
「あなたはどっちがいい?一気に刺されたい?それともじっくり苦しみたい?」
「俺は…、まだ死なない。」
全力で後ろに蹴りをいれる。
当たりはしなっかたが、女との距離はとれた。
女が体制を崩した。すきをついて、逃げた。今の俺にはそれしかできない。
階段にさしかかった。しかし、そこで宙に浮いたような感覚におそわれた。女のにやりとした顔が見えた。
(あぁ、落ちたのか。)
薄れゆく意識の中感じたものは重力と風だけだった。