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水沢江利の怪事件簿  作者: 袖利
中学校二年生編
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File10 地球滅亡の日#3

 文明が滅亡?何を言っているんだ?朝のお天気キャスターだってそんな予報はしていないし、マヤ文明の予言だって一昨年の話だ。

「いまの現代科学では感知できない。」

「エイプリルフールはまだ先だぞ。」

 荒崎もこうは言っているが、その表情からは動揺の色が見える。冗談にしてはやたらと確信のある物言いだ。突然御書が立ち止まった。

「滅亡は、一年前に俺が演算で導き出した答え。」

 演算という単語に不穏な空気を感じる。なんだか特大の告白が次の瞬間行われそうな気配が。

「俺は御書叶都をモデリングして造られたAI機能搭載の人造ロボット、通称御書叶都弍号。」

「「えぇぇぇぇぇぇぇー!!!」」

「お前が無口だったのも!」

「毎回平均点ドンピシャなのも!」

「「お前がロボットだったからか?!」」

「無口は仕様。」

「「えぇぇぇぇぇぇぇー!!!」」

「そして、ここが俺の家。」

「「えぇぇぇぇぇぇぇー!!!」」

 気がつけば海の近くの商店街のとある店の前まで来ていた。お馴染みの大手電機メーカーのロゴの横には『街の電気屋さん御書でんき』と書かれており、店の中に洗濯機やテレビなどの大きな家電が売られていた。するとカラカラと引き戸が開き、店主と思わしき作業服を着た大男が出てきた。御書叶都の20年後の姿に見えなくもない。

「うるさいぞ、ガキ共。人が発していい騒音レベルは40dBと決まってるんだ。あ、弍号か、早かったなぁ、おかえり。友達?」

「同級生。御書叶都に連行するよう命じられた。」

「まさか弍号も友達を持つとはなぁ。」

「この人物こそが俺の製造主、御書光太郎。御書叶都の父だ。」

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇー!!!」」

 いい加減喉が痛くなってきた。

「静かに!初めまして、御書の父です。近所では博士と呼ばれている。あ、これ名刺ね。親御さんによろしく。夏でも特別にエアコンの取り付け予約すっ飛ばしてあげるから。割増で」

 そう言って名刺を差し出してきた。名刺の真ん中には大きく『御書光太郎』と書かれ、その下に小さく肩書きが書かれていた。なんだろう『WEU(世界エレキテル連合)書記長』って。

 名刺に夢中になっている視線を感じた。しまった自己紹介を忘れていた。

「えと、鬼塚翔瑠です。」

「荒崎猟史です。叶都君とは同じ部活動で仲良くしてもらっています。」

 荒崎は優等生モードにすぐさま切り替えにこやかに挨拶をする。2号機がため息をついたような気がした。

「製造主は、俺達(・・)がガラクタとして捨てられていたところを再利用し御書叶都弍号という機体を造った。この機体には製造主の理念である恒久的世界存在への願いが刻まれている。」

「大袈裟だなぁ。」

 と言いつつも御書父は凄く嬉しそうにしている。

「叶都なら地下室だ。父さんはまだ仕事があるから邪魔するなよ。」

「邪魔したことない。」

 御書父にぺこりとお辞儀をして、3人は地下室の階段を下って行った。


「ようこそ!御書でんき秘密基地へ!」

 そこには御書弍号と瓜二つの少年がいた。少年の後ろには複数のモニターが設置されている。

「この圧倒的な科学力を前に、お前達の思考回路がストップするのは致し方のないことだ!説明は後ほどとすることにして、鬼塚翔瑠、地球滅亡の鍵となる男!会いたかったぜ!」

 すっと握手を求められた。初対面で知らない鍵を握らさないでほしい。そして弍号と同じ無口だと勝手に思っていたので、面食らってしまう。固まっていつまでも握手を交わさない俺に痺れを切らしたのか、両手で俺の右手を握ってきた。ちゃんと体温が伝わってくる。

「それと、デビルハンターにしてフリーの活動家荒崎猟史!」

「2度とその名称を使うんじゃねぇ。」

「ま、お前は呼んでないが、記録者は必要だ。会いたかったぜ!

お前の優等生モードは面白いぞ!今日は是非そっちで願いたい!」

 俺と同じく、荒崎と握手を交わす。

「お前ら非科学者には馴染みの無い言葉かもしれないが、こいつは最先端の……」

「これが弍号のオリジナルか。」

「そう。」

「え?まさかお前弍号、言っちゃったのか!俺がネタばらししようと思ったのに。」

「焦らしすぎ。本体の悪い癖。」

「すぐに言っちゃうところは弍号の悪い癖だぞ。」

 同じ顔同士のやり取りに頭がこんがらがってくる。科学者というのは皆こんな感じなんだろうか。

「一つ聞きてぇことがある。」

 先に口を開いたのは荒崎だった。

「なんでもいいぞ!」

「御書、いや弍号。お前先月俳句コンクールでそこそこいい賞獲ってたよな。あれはどっちが考えたんだ?」

 作文でもそうだが、創作したものをコンクールに提出するときは、盗作は勿論、人工知能を活用することも禁じられていたはずだ。

「俺が考えた。」

と弍号。これはちょっと大事件になるのでは。

「おいおい御書……」

 荒崎が発した苗字に1人と1機が反応する。

「オリジナルのほうだよ!マズイんじゃないか?」

「なにが?」

「俳句コンクールの規約。江利が人工知能活用したらだめって愚痴ってたぞ。弍号はいいのか?」

「人間が人工知能を使うのはナシだぞ。けど弍号(AIロボット)の判断で、弍号(AIロボット)が持ちうる知能を駆使して俳句を作成したのなら、それは弍号の作品なんだ。」

 危うく納得しかけるが、それは……

「屁理屈捏ねてねぇでお前が学校来いよ。ある意味1番の問題児だからな。」

「学校は俺の知能と比べると役不足っていうか、他にもやる事があるというか、弍号の情操教育にも役立つっていうか。」

「他にやる事って?」

 御書(オリジナル)は満面の笑みで俺達にこう問いかけた。不本意ながら喜ばせてしまった。

「ノストラダムスの大予言って知っているか?」

 File8の答えは御書叶都でした。答え合わせが大幅に遅れてしまいすみません。

御書叶都弍号は、

『文芸部 俳句 夏井先生絶賛 プレバト才能あり』

と入力したところ思い浮かんだとのことです。

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