File1 切り裂きジャック#2
「中間テストも近いので、各自予習をするように。」
「ありがとうございました。」
帰りの挨拶をすると同時に、放課後を告げるチャイムが鳴り響く。真面目に挨拶するのはあたしを含め、数人くらいだけど。ざわざわと談笑しながらクラスメイトが部活に行く中、どこにも所属していないあたしは帰宅部として誰よりも先に持ち帰り用の教科書を鞄に詰めて帰る。
帰り道の途中、真っ直ぐに家には帰らないで切り裂き事件の現場に足を運ぶ。ミケがいる手前、ああ言ったけれど、この好奇心は抑えられない。最近事件が起こらなくてつまらなかったし。
あたしは記憶を頼りに、事件現場となっている商店街に着いた。商店街はアーケードになっていて、かつては人が行き交い賑わっていたという。今やその面影は残っておらず、残されたのは5軒のみというシャッター街となっている。
そんなジリ貧の商店街に切り裂き事件なんてますます衰退の一途だ。事実、まだ夕方の4時なのに、辛うじて生き残っている店が全て閉まっており、商店街を歩いているのはあたし一人だけだ。。
あたしはシャッター街の見回りを行うが、勿論なにも見つからない。遠くの空の夕焼けがとても綺麗なのがみえる。
「つまんないの。」
独り言を呟き、宿題もあるので今日はもう帰ろうとしたとき、目の前に人影のようなものが見えた。何かと認識する前に全身に激痛が走る。
「っつぅ……。」
朦朧とする意識の中、地面に血が流れているのが見えた。必死に人影に手を伸ばす。私を拒絶しないで、私を一人にしないで、
『私を、置いていかないで……。』