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水沢江利の怪事件簿  作者: 袖利
中学校一年生編
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始まりの始まり#1

 初めての投稿です。暖かく見守っていただければと思います。

「大洗東小出身水沢江利。誰とも馴れ合うつもりはない。」

 好奇の目に晒されながら、あたしは不機嫌さを隠そうともせずにクラスメイトをゆっくり見下ろしながら席に着いた。

 今日は中学校の入学式。割り振られた1年5組のクラスメイト達は新品の制服を身にまとっていた。中には大きすぎる学ランを買ったせいで、ぶかぶかになっている生徒もいる。入学式ということもあり、皆で自己紹介をしようと担任が言い出したことで、クラスメイトは順番に自分の名前と好きな物などを紹介する。あたしを除いて、ほとんどが小学校からの持ち上がりだから、出身校の紹介は省かれていた。そしてこのクラスで唯一の他校からの入学で、女子生徒であるあたしの順番が回ってきて、冒頭の自己紹介に戻る。

 座った途端に悶絶してしまうほど恥ずかしい自己紹介をしてしまった。教室は次の人の番が始まってもざわざわしてあたしの顔を無遠慮に見てくる。しかし少し言い訳をさせてほしい。あたしはお母さんの仕事の都合で知り合いもいない大洗町に小学校5年生のときに引越してきた。

 見ず知らずの土地ということで不安が無いわけではなかったが、人のいい同級生のおかげで小学校ではある程度クラスメイトと打ち解けられた矢先、またまた定員の都合やら大人の事情やらであたしはこの大洗中学校に無理矢理入れられた。

 しかも大洗中は今年男子校から共学になったばかりで、女子生徒はあたし1人しかいないという。男子しかいない学校で、自尊心がまだまだ高いあたしが、どうやって舐められずにやり過ごせというのだろう。

 そう、あたしは大人の都合に振り回された悲しき女子中学生だったのだ。ほとんどやけっぱちだったわけだ。

「なぁさっきの紹介何?あれジョーク?」

 前の席の男子生徒がにやにやしながら声をかけてきた。少しイラッときたが、こんな言動がおかしい女に声をかけてくれただけでもこの同級生は勇敢で心優しい人かもしれない。だが、未だにこんな魔窟に入学させられたことに腹の虫が収まらないあたしは心優しいクラスメイトを無視をした。

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