夏風
夏風は
春風追い越し
舞い上がる
あの登り立つ雲の上まで
突き刺さる
天中の光も畏れずに
ただひたすらに上をめざして
どこを目指してるの?
問いかける声も聞こえていないだろう
ああ、どこまでもどこまでもただ駆け上ってく
僕を置き去りにして
春風を置き去りにして
君の目指す先、君が辿り着くその場所を
見てみたい
叶わない願い
届かない
わかってる
ああ、それでも君はどこまでも駆け抜けていくんだ
一瞬も、息を漏らす間も惜しむように
ただ、ただ、過ぎ去ってゆく君の姿を
ただ、ただ、僕は見つめるだけ
目映いキラメキの粒が細やかな粒子となって
僕に降りそそぎ、僕にぶつかり雪粒のように消えていく
ただ、ただ、僕は追いつけずに見つめるだけ
春から夏へ
夏は鮮烈に
過ぎ去ってゆく
僕を置き去りにして