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2話

それから。


女神様と向かい合って座る。


顔を逸らし、緊張しながら。


「それではいきますね。」


「は、はい…。」


そう返事すると女神様は私の頬に手を当て優しく近づいてくる。


見つめ合うのが恥ずかしくて思わず目を閉じる私。


なにもわからない状況で、女神様の吐息が近くに。


やがて唇にまた柔らかい感触が当たる。


胸の鼓動が早くなり、恥ずかしさで今にも倒れそうな私だったけど、なんだか甘い香りと味がしてきて。


さっきのケーキだということに気づく。


(あぁ。ケーキ美味しかったなぁ。また食べたいなぁ。)


そんなことを考えていると今感じている甘さをもっと感じたくて。


気づくと舌を延ばしていた。


(甘くて美味しい。もっともっと感じたい。)


さらに舌を動かす。


「んっ…。」


と、なにか聞こえるけどわからなくて。


しばらくそうしていると、やがて唇に感じていた感触が離れていき、同時に甘さもなくなっていく。


目を開けてみると「り、凛々さんって意外と大胆なんですね。あんなにすごいキスをするなんて。」と照れている様子の女神様が視界に入る。


「自分の百合に興味ないわたしでもさすがにドキドキしちゃいましたよ。」と言われやっと私がしていたことに気づく。


「ご、ごごごごめんなさい…!」


「えへへ。いいんですよ。おかげで多めに力を戻せましたから。」


と、喜んでいる女神様に顔を真っ赤にしながら謝る私。


それからしばらくして少しだけ落ち着いてくると女神様が話し始める。


「凛々さん。ありがとうございます。これだけ力が戻れば他の方にも視認してもらうことができそうです。」


「そ、それはよかったです…。」


「ただ…まだまだ力が戻りきっていないんです…。」


「そ、そうなんですか…?」


「はい…。なぜかわからないんですが、さっきから読み取った記憶が全部子供の時の物みたいで…。子供の時の百合の記憶でもいいんですが、最近の記憶の方が多く力を戻せるんですよ!なのでもう一度お願い出来ませんか?」


「ご、ごめんなさい…。」


「あ…。さ、さすがに連続は嫌でしたか…?」


「ち、違うんです…。」


「…?」


「え、えっと…。わ、私…友達いないんです…。」


「…え?で、でもすごく仲良さそうな子がいましたよ!?キスまでしてましたよ!?」


「そ、そんな所まで…。」


「えへへ。凛々さんの大人のキスのおかげです!」


「あ、あぅぅ…。」


「わわわ!ごめんなさい!そ、それで今その子は!?」


「つ、次の日遠くに引っ越しちゃって…。それ以降友達出来てません…。」


思えばあの時も最後のお別れにってキスをお願いされて。


嫌ではなかったからいいんだけど。


私って昔から押しに弱かったんだと改めて気付かされる。


「そうだったんですね…。むむむ。」


そう言うと女神様はなにか考え込んでいる様で。


やがてなにかを思いついた様に手をポンと叩くと口を開く。


「そうだ!それならこれから作っていきましょうよ!」


「つ、作る…ですか…?」


「はい!いないなら作ればいいんです!」


「む、無理ですよ…。」


「んー?もしかしてお友達作りたくないんですか?」


「い、いえ…。ほしいですけど…。」


「けど…?」


「わ、私人と話すのが苦手で…。」


「ふむふむ?」


「そ、そんな私と友達なんて…。な、仲良くしてくれる子なんて…。」


「んー。そんなことないと思いますよ?」


「そ、そんなことあります…。」


「そんなことないです!わたし凛々さんともっと仲良くなりたいです!」


「…え?」


「力を戻す為じゃなく!凛々さんの優しいとことか、笑顔がかわいいとことか!他にももっともっと知りたいです!なので、まずはわたしとお友達になりましょう!だめですか?」


そう言う女神様はすごく真剣な表情で。


押しに弱い私だったけど、今はそういうのではなく。


その気持ちがすごく嬉しくて。


「だ、だめじゃないです。」と答えていた。


そんな私の答えを聞いた女神様は「わーい!よかったですー!わーいわーい!」と立ち上がり喜ぶと私の隣までやってきて。


「これからよろしくお願いしますね!凛々さん!」


そう言い嬉しそうに私を抱きしめる。


そんな女神様に驚き動揺しながらも「よ、よろしくお願いします…。」となんとか返事をするのだった。


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