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人生終了?



アルテナ 20歳 


若くして、私の人生は終わったようです。




私の生まれた街ガルシアは、とても古い街と言われている。


北側から街を囲うかのように、日も入らないような深い森が果てしなく続き、開けた南側は大海原。

森を通り抜けた者は今まで聞いたことがないし、岩礁の多い場所の為かこの荒い海を越えて行くことは、頑丈で大きな船でない限り無理だ。


そんなこともあり、周りの国々から孤立したこの街は、発展が遅れ古い街と呼ばれる。



でも、それは表向きの話。


この街が古い街と言われるのには、もう一つ違う理由がある。



それは、魔術師や魔女がいる街だからだ。



世界にそんな者はもういないと、以前海を渡って来た船員さんが話しているのを聞いた。


魔術師や魔女は、異形とされて数百年も前に世界から排除されたそうだ。


この街は、発見されたのがほんの数十年前。


世界と孤立したこの街のおかげで、ひっそりと生きていくことが出来たのだ。


世界は今さらながら、魔術師や魔女の持つ知恵や力が稀有なものと気付いたようで、排除したことを悔いているようだ。


そんな中、現在も変わらず魔術師と魔女が暮らすこの街を、まるで遺跡の様に尊いものとしているのだとか。


魔術師や魔女が存在する事が私たちにとっては当たり前の世界で、その話は衝撃だった。


でも、この街の魔術師や魔女は、世界の事をよく理解していたのかもしれない。


私たちは魔術師や魔女がいる事を知っているが、それが誰なのかは知らない。


魔術師や魔女は、私たちの街を守ってくれている。


それは、小さい頃に親や学校の先生から習う。そして、沢山の危険から実際に守ってもらっていた。


街の後ろにある深い森には、2階建ての家程大きな動物達がいるが、食料を求めて時たま街へ降りてくる事がある。その際に魔術師や魔女は、その力を使い動物達に森へ帰ってもらうのだ。


ただ、私たちはその姿を知らない。

ある一族が行っているそうだが、どこの一族かはわからない。

また、それが魔術師(男)なのか魔女(女)なのかもわからない。

何人いるのかも、年も何もかもわからない。


ただ、いるという事だけを知っている。


外の国から海を渡って来る船員さんは、この古い街にいる魔術師や魔女をどうしても国へ連れて帰りたいらしい。

年に1〜2回ではあるが、やって来ては血眼になって探し帰って行く。

街の者すら知らない存在を、見つけようとする事がどれだけ難儀な事かと私は思う。


ただ、この街の魔術師や魔女は、世界が同胞にした事を理解しているのだろう。


同じ事を繰り返さない為にも、存在を秘密にして生きているのだと思う。


そして、この街の住民もそれは当たり前のように詮索をしない。

魔術師や魔女が街を守ってくれるから、世界に彼らを取られまいと秘密にしているのか。はたまた、魔術を使っているのか。

この街に生まれた者は、その存在を知る事なく過ごしていく。



斯く言う私も、魔術師や魔女に感謝しつつも、他の人達と同じで何も知らずに、一生を終えると思っていた。



だけど…




先日、私は魔術師に心臓を取られてしまった…



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