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寝顔
深い眠り。そっと薄い毛布をかけてあげながら、ユイはシュウの寝顔をまじまじと見つめた。綺麗な寝顔だな、と思った。艶やかで柔らかな黒髪。流れるような眉。長い睫毛。すっと通った鼻筋。ほのかに紅い薄い唇。長く繊細な指先……。眠っているとまるで人形のようだ。そこまで観察してから、ふと、自分も寝顔を見られたのだ、という事実に思い至る――果たして自分はどんな寝顔だったのだろうか――ユイは急に心もとなくなっていった。
――どうしよう、どう思われただろう。酔っ払って、しかもだらしない寝姿だったら……!
ユイは軽い自己嫌悪に陥っていた。
ふいに、「一晩中手を握る」と言っていたことを思い出した。
――この美しい男のひとと、私はずっと手を握っていたの!?
瞬時に体中を電流が流れるような感覚が走った。熱い。ユイは自分でそれとわかる程顔が赤くなっていた。心臓が、どきどきする。
「どうしよう……」
いや、いまさらどうしようもないのだけれど。
静かに眠り続けるシュウの傍らで、どうにも落ち着かないユイだった。