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特別な輝き
天高く昇る朧月。雑踏の中、男はひとつの「輝き」を見つけた。
他にもたくさんの輝く光がある。都会の街は深夜であっても明るい「輝き」に満ち溢れている。それぞれひとつひとつが違ったきらめきを放っている。ひとつとして同じものはない。男にはそれが見える。世界の美しさを、男は知っていた。
しかし、あの「輝き」だけは、なにかが違う。男はその「輝き」から目が離せなかった。群を抜いて光が強いというわけではない。一番素晴らしい美しさというわけでもない。それなのに、なぜ目が離せないのか。男は不思議に思う。
なぜだろう。なぜ、こんなにも強烈に……。
その特別な「輝き」の源を凝視する。男は息をのむ。
なんということだ! よりによって……!
男は迷わなかった。強い決意と強い意志でその特別な「輝き」に向かってまっすぐ歩き始めた。
男にとって初めての行動だった。




