表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面仮面  作者:
1/26

茂木茂孝の疑問

藤原って、どう考えても変だ。あ、藤原というのは俺の前の席に座っている女子生徒のことなんだが。


ツヤのある黒髪を二つに結ったおさげに、綺麗な黄色の瞳。背

が小さくて小回りが利くのを良いことに、剣道部の主将を務めてたりする意外にたくましいやつだ。

まあ、ここまで聞いても特におかしなことはない。普通の、

ちょっと元気な女子高生ってとこだろ?


でも、やっぱり奇妙だ。

具体的に言うと、藤原の頭に乗ってる、毛玉のような物体。首にもチョーカーを巻いているんだが、それが霞むくらい変なもの。


よく見たら気付いたけれど、これ、猫耳だ。


しかも授業中とか、ぴょこぴょこ動く。カチューシャじゃなくて、本物。なんというか、生きてるやつ。


この時点で既にどうして猫耳ついてんだエロゲかよとか、人間と合わせて四つも耳あるのかよイヤホン二個必要じゃないかとかいろいろツッコみどころはあるんだが、それだけじゃ無かった。


聞いて驚け諸君、なんとこの猫耳、俺以外の人間には見えていないらしい。


幼いころからの親友にこのことを話したら、


「は?何言ってんだお前。猫耳なんて生えてねえだろ。いや生えてるってなんだよ。もしかしてお前ケモナーなのか?いくら藤原がかわいいからって、それはさすがに引くぞ……」


と距離を置かれてしまった。それからというもの下駄箱の中に三日にいっぺんくらいの頻度で、お供え物のようにケモノ娘系のエロ本が入っているのは、たぶん気を使われているんだろう。決してそういう趣味ではないので、勘違いしないように。


とにかく俺は藤原の猫耳が気になって仕方がなかった。というか、誰だって前の席のやつの猫耳がピクピク動いてたら、気になって授業なんて集中できないだろ?

藤原は明るくて気さくだから、ある日聞いてみたんだ。


「お前耳に猫耳生えてるぞ」


って。そうしたらあいつ、一瞬動揺して


「く、薬の副作用で」


なんて言い出すものだから、こっちはポカーンだよね。んなわけあるか!慌て具合から考えて、明らかに嘘だ。

まあ、それを横で聞いていた例の親友や他の奴らは冗談だと受け取ったみたいだったけど。


その日から毎日下駄箱にエロ本がお供えしてあるようになった。正直ちょっと目覚めそう。


なにはともあれこんなわけで、俺は猫耳の謎を解明すべく、それとなく藤原を観察しだしたのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ