復讐者3
銀華は後方へと大きく飛び、部下が用意したヨルムンガルドの横に着地した。
すぐに狙撃態勢に入り、グリップを握る。
宗月はこちらを見やると大きく口を開いた。
恐らくは炎の息で焼き殺そうというのだろう。
だが、奴の思い通りになる事はない。
何故なら――
「お前はここで、私に倒されるからだ。」
スコープで狙いをつける必要もない。
銀華は迷いなく引き金を引いた。
轟音のような発砲音と共に弾丸が打ち出される。
空を裂き、獲物の元へと飛んでいく。
宗月は回避するそぶりも見せずに攻撃の態勢のままだ。
この姿の自分を魔銃では倒せない、そう考えていたのだろう。
本来であればその通りだが、コイツは特注品だ。
何せ、元々は対装甲車用の銃だ。
破壊力は折り紙付きだ。
しかもおまけで、2属性の魔源を付加させてある。
「なにっ!」
宗月の予想を裏切って、弾丸は魔法障壁を破り、強固な鱗を引き裂き、内部へと突き進んだ。
肉を引き裂き、目指すは彼の心臓とエーテル器官。
”コールダークネスⅢ!”
2つの魔源が混じり合い、4属性とは異なる魔法が発動する。
上位魔法とされる闇の魔法だ。
光と闇の魔法は、2つの魔源を掛け合わせて初めて扱う事が出来るのだ。
人間で扱える者はほぼいないが、それは時空龍達には関係ない。
4属性の魔源を扱う時空龍達にとって、上位魔法を扱うのは造作でもないのだ。
「ぐがぁ……」
闇の奔流が宗月の身体を内部から腐らせていく。
内臓も骨も血管も、全てその機能を停止していく。
身体を維持出来なくなった宗月は、人の姿に戻り地面に倒れ伏した。
誰の目から見ても、彼が死ぬのは時間の問題だった。
「ロキで止めを刺せなかったのは非常に不本意だ。 だが、父上と同じ苦しみを味わいながらお前は死ぬ。」
「――ククッ。」
血反吐を吐きながら、それでも宗月は笑っていた。
「何がおかしい!」
「姫様は、本当に――無知なお方だ……ゲホッ。」
「どういう意味だ?」
「そもそも、黒島と繋がっていたのは――ゲホゲホ……、誰だったでしょうね?」
黒島と繋がっていたのは、彼を派遣した宗月だ。
そして、その宗月と繋がった時空龍達――
いや、まてよ……
黒島の市長としての身分を用意したのは――
「今頃、貴女のアジトは大丈夫ですかね――ククッ。」
「貴様! 何を知っている!」
「せいぜい足掻きなさい、先に逝って待っていますよ……ふはははは――グハッ!」
宗月は笑いながら、最後に吐血して絶命した。
最後まで気に入らない顔であった。
「お前達、急いでアジトに引き上げるぞ。」
「隊長、それはどういう?」
「3賢者の老害共が私のアジトを潰しに来るんだよ!」
銀華は唇を噛みしめながらそう答えた。
~魔銃・ロキ~
銀華が一番初めに作った魔銃。
レミントン・デリンジャーという銃をベースに、魔術的改良が施されている。
41口径を使用、 123mm、有効射程10m程度。
中折式シングルアクションで、装弾数は2発。
銀華が復讐を達成するために、一番初めに作り出した魔銃。
父を殺した銃と同じ物を使う事で、その復讐とする計画であった。
そのため予備の弾を用意しておらず、本当に2発のみしかない。
今回の戦闘で1発使ったため、残弾は1発である。




