二度目の別れ3
それに答えるようにフェンリルの弾丸を撃ち込む。
健司は拳に炎を纏い、弾丸を叩き落した。
そのままの勢いでこちらへと駆けてくる。
前回の戦いから分かっていた事だ。
相手は必ずこちらに近づいてくる。
魔法使いらしからぬ行動をすると――
2発の弾丸を自らの足元に打ち込む。
健司は瞬時に危険を察知したのか、後ろに大きく飛ぼうとする。
だが、遅い――!
”サンダーボルトⅢ!”
弾丸から魔法が発動する。
健司に向けて2本の雷が真っすぐ飛んでいく。
”ファイヤーウォールⅢ!”
防御魔法を使えない健司は、魔法同士の衝突で威力を削ろうとする。
彼の目論見通り、雷の威力は大きく削がれていた。
直撃するが、ほぼダメージを与えられていない様子だった。
しかし、それはさほど問題ではない。
何故なら――
俺は今健司の背後に立っているからだ。
そのまま2発の弾丸を打ち出す。
「なっ――!」
予想外の位置からの攻撃に、彼の反応が一瞬遅れる。
1発は右手で撃ち落とすが、もう1発は――
”ウィンドカッターⅢ!”
発動と共に健司の左腕が爆ぜた。
辺りに緑色の液体と金属片がまき散らされる。
フェンリルの残弾は1発。
次は外さない……
「一体なに――っ!」
「終わりだ。」
今度は彼の右側に現れてみせた。
同時に最後の一発を撃ち込む。
弾丸は健司の二の腕に吸い込まれ、そして魔法が発動する。
”ウィンドカッターⅢ!”
「んがぁ!」
飛び散る液体と破片。
彼の両腕は見るも無残な状態になっていた。
断面からはバチバチと何か音を立てている。
俺はローブの中に隠していた、左手のソレを健司に向けて構えた。
「――それがトリックの種か。」
「サプレッサーって知ってるか? こいつは発砲音を軽減出来る優れものなんだ。」
俺は作戦前に、ヘイムダルにサプレッサーを装着しておいたのだ。
本来は暗殺用にと用意していたものだが、俺はある別な使用方法を思いついたのだ。
魔法使い同士の戦闘の場合は、魔源の反応で攻撃がばれてしまう。
しかし、魔銃での魔法発動にはそれがない。
何故ならば、事前に魔源を弾丸に込めているためだ。
あとは起爆するだけの状態にしているため、相手が魔法使いでも有利に戦える。
ただ銃という性質上、色々と不便な部分があるのは確かだ。
だからこそ、このサプレッサーはその問題の一つを消してくれる。
今の戦いの場合、フェンリルの発砲と同時にヘイムダルを発砲したらどうなる?
耳のいい奴でも判別は難しいだろう。
そう、俺はローブの中で自身にヘイムダルを撃ち込んで魔法を発動したのだ。
「自己強化と、姿を一時的に消す魔法か……」
「そういうことだ、さしずめ幻影弾ってとこか。」
「なんだよそれ、発想が、ガキくせぇじゃねぇか……」
健司は諦めたように地面に寝そべった。
しかしその表情は笑顔だった。
まるで満足だとでも言いたそうに――
「完敗だ……やっぱりかてねぇか。 オレも頑張ったんだけどなぁ……」
「――兄さんに会ったら宜しく頼む。」
「あぁ、思いっきり自慢してやるぜ。」
俺は、そのまま健司の頭部に狙いを定め、ヘイムダルの引き金を――引いた。
さよなら、そしてありがとう――健司。




