オペレーションナガルザル3
数台の車に全員が乗り込み、各々席へと座った。
自らの得物の最終チェックをする者、目を瞑り精神統一する者、それぞれだ。
「おい、例のアレは持ってきてるだろうな?」
「もちろんですよ隊長。 でも、あんなものの出番なんてあるんですか?」
「万が一の備えだ、相手はあの宗月だからな。」
銀華さんが何か話しているようだ。
例のアレとは一体なんだろうか。
「なんです、それ?」
「私のとっておき、”ヨルムンガンド”だよ。」
前に聞いた事があるような――
記憶の底から”ヨルムンガンド”という用語を掘り起こす。
確か――晧月さんがポンコツとか言っていたような。
「使えるんですか……?」
「何を言う! あれは私の自信作だぞ! そもそも――」
銀華さんが熱く語り始める。
こうなると手がつけられない……
俺は適当に長しながら、銀華さんを観察する。
彼女の衣装は仕事用のスーツではなく、普段から着ている和装だ。
その見た目は、薄手のワンピースによく分からない模様の刺繍がなされている。
和装は時空龍達の民族衣装らしいが、何故この衣装を今回は纏ってきたのだろうか。
「聞いているのか?」
「は、はいもちろん!」
「――ならばよろしい。」
たっぷりと語って満足したらしい。
彼女は嬉しそうに魔銃を取り出し、各部の調子を確認し始めた。
きっと、銀華さんにも何か思う事があるのだろう。
俺には分からない決意の結果なのかもしれない。
宗月、彼女にとって仇なのだから。
車に揺られながら死地へと徐々に近づいている。
俺も自らの魔銃であるフェンリルとヘイムダルの最終確認を済ませる。
「頼むぞ、相棒。」
ホルスターに収め、大きく深呼吸をする。
少しだけ最低な気分がマシになった。
宗月――
黒島と裏で繋がっていた男。
俺の戦いも、これで決着が付くのだろうか?
~魔銃・ヨルムンガンド~
銀華が作った魔銃。
シモノフPTRS1941という銃をベースに、魔術的改良が施されている。
14.5x114mm弾を使用、全長2,140mm、有効射程400m程度。
ショートストローク式ガスピストン方式で、装弾数は5発。
元々、狙撃にてターゲットを暗殺するために作られた魔銃。
長距離から放たれる一撃の威力は凄まじく、通常弾ですら恐ろしい破壊力である。
しかし、その巨大さ故にほぼ使う機会は無い代物。 晧月曰く、”ポンコツ”である。




