実技試験1
夢を見ていた。
それはぼんやりとしていて、目覚める頃には忘れてしまう儚い夢。
「私ね、学校で褒められたの!」
「ほぅ、そうなのか?」
青年の問いに少女は満面の笑みで答える。
「私の魔法がね、すごいゆーしゅーなんだって!
校長先生も褒めてたよ!」
「そうか、――はさすがだな。」
そう言って青年は少女の頭を撫でた。
少女は気持ちよさに目を細めた。
「大きくなったらお兄ちゃんのお手伝いしたいの。
だからね、私もっともっと頑張るよ!」
「あぁ、楽しみにしてるよ。」
いつも同じような、違うような……
でも暖かな、すぐに忘れてしまう儚い夢。
朝のホームルームでレイの紹介がされた。
予想通り女子達の黄色い声が飛び交う結果となり、既に仲の良い僕と健司は睨まれる事となった。
「さて、説明は以上。 各自準備が出来次第ダンジョンに転送するわ。」
各々がチームごとに集まっていく。
僕達も三人で集まる。
「さて、そろそろだね。」
「まぁ大丈夫だろ!」
自信満々に健司は言う。
「二人とも、よろしく頼む。」
「うん、こちらこそ。」
「腕がなるぜ!」
周りにの雰囲気から準備が出来たことを感じ取る。
「では、転送!」
キャシー先生の詠唱が始まり部屋全体が光に包まれる。
ついに試験が始まるのだ。