オペレーションナガルザル1
「以上が今回の作戦の概要だ。質問のある者はいるか?」
晧月さんの問いに皆が沈黙で答える中、俺は一人手を挙げた。
「3チームに分ける理由を教えてください。」
この作戦の内容はこうだ。
まず俺、晧月さん、銀華さんを中心とした3チームに分ける。
それぞれのチームが別々の入口から突入、目的地の宗月の部屋を目指す。
辿り着いたチームが宗月を暗殺する。
分散するメリットは少人数による発見されにくさだろう。
ただ、デメリットの方が圧倒的に大きい気がする。
まず第一に、相手はこちらの奇襲を読んでいる可能性が高いからだ。
何人もの高官や関係者を暗殺して来た今、残るは宗月だけなのだ。
次に自分が狙われていると分かったら、相応の準備をしている事だろう。
この前のあの人造人間もその準備の一つだろうし。
第二に、各個撃破されやすいという事だ。
少数精鋭だろうが、数の暴力には勝てない。
ましてや相手には時空龍の兵士もいるだろう。
そうなると、対処出来るのは魔銃使いだけだ。
「この奇襲は失敗する可能性が高い、そういう事だろう?」
「そうです。 ならば一点に戦力を集中して突破するべきかと。」
そう、それがベターな選択だと俺は思う。
ここまで来たら穏便に済ます事など出来ないだろう。
戦力差は進撃スピードで誤魔化す。
奴さえ打ち取れば勝ちなのだから。
「その作戦だと、おそらく全滅するだろうな。」
「……」
「3チームに分ける意図を教えてやろう葉助。 それは――」
”どれか1チームでも生き残って宗月の首を獲れって事さ”
背筋がぞくりとした。
奴さえ殺せるならほぼ全滅してもいいという作戦なのだ。
明らかに、今までとは違う任務だ……
俺はその解答に、黙って俯く事しか出来なかった。
「他に質問は無いな? では各自準備に取り掛かれ。」
誰もが無表情で作戦室を出ていく。
これから死地に赴こうというのに、誰も顔色ひとつ変えていなかった。
恐れているのは、恐らくこの空間では俺一人だった。
いや、俺が恐れているのは自らの死よりも――
「心配するな、お前は死なせない。」
その言葉が、今の俺には気休めにしか聞こえなかった。
「レイ……」




