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背負うもの2
部屋に戻り、椅子に座り込む。
そのまま身体を背もたれに預けた。
ベッドでは、レイが小さな寝息を立てている。
俺は、レイを背負うだけでも精一杯なのだ。
それなのに、これ以上誰かを守るなんて事が可能なのだろうか。
そして――
脳裏には健司の顔が浮かぶ。
間違いなく、あの魔法使いは健司だった。
いや、健司に似せて作った人造人間という可能性もある。
問題は、何故健司に似せて作ったのかという事だ。
もしかしたら、本物の健司は時空龍達に囚われているのではないか?
そんな微かな希望さえ浮かんで来た。
結局の所、あの健司の顔をした敵と再び戦わなければならない事実は変わらない。
守りながら戦う、それはとても難しい事だと思う。
ヘイムダルをホルスターから取り出す。
まずはこいつの修理からか……
何か作業をしている時が一番楽だ。
嫌な事を全て忘れさせてくれる。
この時間が、ずっと続けばいいとさえ思える。
守る命、消える命、消した命、奪われる命。
どれも同じ命。
人の神秘の結晶。
だが、俺は?
紛い物の命に、価値はあるのだろうか。
それでも、紛い物でも本物の命を守る事は出来るはずだ。
「ごほっ!ごほっ!」
手で口を押えて咳き込む。
その手のひらは、真っ赤に染まっていた。
「そうだ、俺の命の限り守ってみせる。 約束したもんな。」
背負ったお前を、絶対に守るさ――レイ。




