運命の日2
微かに揺れる部屋。
レイはベッドの上に寝かされて、何か機器を取り付けられている。
「状況が理解出来ない、という顔だな。」
「……」
この異常な状況。
寮母さんの脇には、黒いスーツ姿の男が2人座っている。
その手には見慣れない金属の塊が握られている。
「お前が倒れた後、二人共私の車に乗せた。 他に知りたい事は?」
「レイは無事ですか? それと、貴女の目的はなんですか?」
第一にレイの安全だ。
そして、この寮母さんの正体が気になった。
普通ではないのは、この状況が物語っている。
「見ての通り、今治療中だ。 魔源欠乏症の症状さ。」
「そんな……」
”魔源欠乏症”とは――
短時間に大量の魔源を消費する事によって起こる症状の事を指す。
その症状は意識混濁、生命維持活動の低下等、結果的に死に至る。
魔源の譲渡によって、減少した魔源を補充するのが治療法だ。
しかし、譲渡を行えるのは、同じ属性の魔源を持つ者だけだ。
あの機器は、魔源の譲渡を行っているのだろうか?
「それと私の目的と言ったな? それはもう果たされているよ。」
「どういう事ですか?」
「私の任務は、黒島の監視――最終的には暗殺だったからな。」
暗殺……
つまり、この人は黒島の目的を知っていて、最初から泳がせていたんだ!
「それ、動くのが遅すぎじゃないですか?」
結果的に、街の崩壊を防いだのは僕達だ。
この人達は何もしてくれなかったじゃないか!
「あくまでも、目的は監視だ。 情報が必要だった。」
「そのせいでこんな事になったんでしょ!」
つい、声を荒げてしまう。
そうだ、この人達がもっと早く動いていれば、レイは、健司は!
――健司はどこだよ。
記憶の片隅にある、血まみれの生徒手帳。
僕は、ゆっくりと制服の右ポケットに手を突っ込む。
手に当たる感触、二つの生徒手帳。
一つは間違いなく僕の、そしてもう一つは……
握りしめ、ポケットから取り出す。
「あぁぁ……」
血まみれの生徒手帳が、その手に握られていた。
”生徒名 村田 健司”




