作戦会議1
「すみません、助かりました。」
やっとの事でレイの荷物の開封設置を終わらせる事ができた。
寮母さんを含み、4人での作業のおかげで、そこまで大変ではなかった。
「これが仕事だからな、気にしなくていい。」
そう言って笑顔を見せる寮母さん。
夕食の支度があると言って、部屋から出て行った。
寮母さんは時空龍の中では珍しく人間との関わりを持とうとするタイプだ。
普段は人間の姿になり生活している。
このような例は極稀である。
「ありがとう、助かった。」
「これくらいどうって事ないって! これから一緒に暮らす仲間だしな。」
――健司はほとんど動いてなかったって突っ込みはしないでおくべきか?
「でも、結構書物が多いね。」
本棚に入れた本を一冊手にとってみる。
”境界移動の原理と考察”
「葉助も、こういうのは好きなのか?」
「結構ね。 でも、これって――」
パラパラとページをめくっていく。
境界移動とは、境界線の向こうにあるとされる別世界に行くことだ。
それなりの準備が必要だが、境界移動を行うのは、魔法が使えるなら誰でも可能だ。
ただし、原則として時空龍達によって境界移動を行うことは禁忌とされている。
「気になるなら好きに読んでもいい。 どうせ同じ部屋だ。」
「うん、そうさせてもらうよ。」
僕は本を元の棚に戻すと、ポフッっと自分のベッドに腰掛ける。