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その男の真意4
下の階から地響きがした。
おそらく健司と兄さんが戦っているのだろう。
どうしてこんな事に……
疑問が頭から離れない。
なぜあの二人が戦わなくてはならないのか。
そもそも兄さんは何故あんな事を……
止めていた思考が今更動き始める。
その度に足の動きが鈍っていく。
”引き返せ”
という言葉が頭の中で反響している。
今更引き返してどうなる?
兄さんを問いただす?
健司を助ける?
――違う
僕は進まなければならない。
もう一度喝を入れて駆け出す。
目の前には見慣れた教室。
「……」
そして、見慣れた姿が視界に入った。
レイだ。
レイの周りには夥しい数の死体が転がっていた。
おそらく警備兵士達だろう。
警備が手薄だった理由は、先に侵入したレイが壊滅させたからだろう。
「何故来た?」
レイは睨みながらそう僕に言い放った。
その瞳は、2度目は無いと警告している。
少し前に僕を殺そうとレイは襲ってきた。
果たしてそれは真意だったのだろうか?
それとも……
「君の本当の気持ちが知りたい。」
「私はお前を殺したい。」
そう即答する。
「仇の手先だから?」
そう聞くとレイは頷いた。
――違う。
それは絶対に違う。
だって……
「もう、誤魔化しはいらないよ。」
あれは――
”レイ・リヴァイアスが、嘘をついている時の瞳だからだ”




