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その男の真意3

「はぁ……はぁ……」



俺の勝ちだ。

力押しでもなんでもいい。

ついにこの先輩を打ち倒したのだ。



「強くなったな……」


「え?」



それは意外な言葉だった。

まさか敵である誠からそんな言葉が出るとは思っていなかった。



「この結果を、望んでいたのかもしれない……」



口から血を零しながらそう言った。



「所詮は、黒島の実験体――歯向かう事はできなかった……」


「誠先輩……」


「実験体No.3、それが俺の名前さ……」



誠は膝をつき座り込んだ。




「そんな事……」



そんな事はない。

この人だって人間だ。


確かに命令で強制的に葉助やレイに手を出そうとした。

でも、どうだ?

それは本人の意思ではなかった。

確かに許せない。

おそらくあの手は、多くの罪を重ねてきているだろう。

それでも、償うチャンスがあるというなら、俺は――



「さあ、止めを刺してくれ……」



俺が下す判断は――



「帰ろう、先輩。」



そう、これしかない。



「……」


「全部償って、やり直せばいい。 一人の人間として。」


「健司、お前は……」



”本当に……馬鹿な奴だ”


ずぶり、と肉を抉る音。


あぁ、俺はなんてお人よしで単純なんだろうか。



自らの腹部に突き刺さる腕。

それは間違いなく誠の物で――



「ごふっ!」



盛大に口から血を吐き出した。


傷口から焼けるような痛み。

いや、”ような”ではない。

実際に焼かれているのだ、同じ方法を使われて。



「健司、殺しはしない……」



そう言って笑う誠。

俺はその顔を睨むことしかできない。



また裏切られた。

少しでも信じた俺が馬鹿だった。

やっぱりこいつは悪魔だったんだ。


徐々に朦朧となっていく意識。

おそらく、次に目覚める時は黒島の人形になっているだろう。

俺はそんな運命はごめんだ!



ガシッ!



しっかりと誠の腕を握った。



「――なんのつもりだ?」



この状況で出来ることは一つ……

これから待っている運命を覆す唯一の方法。


掴んだ腕に直接魔力を叩きつける。



”フレイムタワーⅢ!”



「お前!」



明らかに焦った誠の表情。

それもそうだろう。

これは自殺にも等しい行為なのだから。



「葉助の邪魔はさせねぇ――お前はここで。」



”一緒に死ぬんだ!”



これは自分の甘さが招いた結末。

少しでも、誠に人間としての感情があると思った自分の判断ミスだ。

だからせめて――



悪いな葉助……

もう戻れそうに、ない……



燃え盛る炎が二人を包んでいく。

せめて憂いを残さないように、跡形もなく。



”エクスプロージョンⅢ!”



――炎の閃光が巻き起こった。

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