不吉な予感5
それはありふれた風景。
幸せな家族の描写。
僕は椅子に座りながら母親の作るご馳走を待っている。
母は微笑みながら好物のハンバーグをテーブルへと並べた。
僕のためだけに用意されるご馳走。
”僕のためだけに”
あぁ、なんて幸せ者なのだろう。
僕は最愛の母を独り占めできる。
誰にも奪われはしない。
”誰も奪えない”
奪われるわけがない。
だって……
――で、からの――
―という、しかし……
―――だと言って――
――失敗だ。
――利用――の可能性。
全ては――
誰かの手のひらが近づく。
”うわぁぁぁぁぁ!”
―――
――
―
急速に意識が覚醒する。
「っ……!」
伸ばした手をレイがしっかりと掴む。
「うぉぉぉ!」
そのまま外へと放り投げられた。
ゴロゴロと勢いのまま地面を転がる。
――はぁはぁ
止まっていた呼吸が再開する。
不足していた酸素が体中を駆け巡る。
「大丈夫か?」
コクリ、と頷いて、レイの肩を借りて立ち上がる。
入り口を覗くと、奥側が完全に水没している。
「……」
アレはなんだったのか。
全ては水の底だ。
「葉助……」
「大丈夫だよ、レイ。」
色々なものが頭の中を駆け巡っているようだ。
きっとこれは……
しかし、無情にも答えは――
~謎の研究所~
アジダ島の洞窟の奥にあった謎の研究所。
何か生物兵器を作ろうとしていた痕跡があるが、詳細は不明である。
海に沈んでしまった今、真実を知る者は当事者達だけであろう。




